東海道新幹線の「異常時対策訓練」何が変わったか 深夜の営業線を使って、車内の不審者に対峙
その後、13号車から車掌がスーツケースを盾代わりに12号車に乗り込んできた。「お客様、どうされました?」と言いながら、周囲の状況を観察する。この車掌が13号車に退くと、今度は11号車から車掌長が12号車に乗り込んできて不審者を牽制。その後さらに、警備員もさすまたなどの防護装備品を手に乗り込んできて不審者を牽制。不審者を足止めしている隙にパーサーや車掌が12号車に乗り込み、負傷者を12号車の外に連れ出した。車掌、パーサー、警備員が別々の場所にいたにもかかわらず連携プレーが取れたのは通話システムで絶えず情報を共有していたからだろう。
0時07分、指令員は新横浜駅で臨時停車すると列車のクルーたちに連絡した。同時に警察や消防などの関係各所に連絡を取るとともに進路変更などの取り扱いを開始。車内スピーカーからは「新幹線総合指令所からお客様にお伝えします。乗務員や警備員の指示に従い、落ち着いて行動してください」という放送が流れてきた。運転士は列車を一刻も早く新横浜駅に到着させるため、信号の表示に従って列車の速度をアップさせた。
駅では列車到着に備えた訓練
この間、新横浜駅では、駅ホームにいた乗客を階下のコンコースに避難させ、不審者の乗った列車の到着に備える準備が行われていた。
車掌やパーサーは駅到着後のドア扱いや旅客避難の準備を行い、警備員は不審者が12号車から外に出ないように牽制を続ける。0時11分、急ブレーキとともに列車が停車した。到着と同時に列車のすべての扉とホームドアが開き、乗客は降車を開始した。後で確認したら、列車は定位置から2両分くらい手前で停車していた。これではもし16号車に乗客がいたら、前方の車両に移動しないとホームに降りられない。JR東海の担当者に指摘したら、「そういう状況も含めた訓練」とのことだった。
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