東海道新幹線の「異常時対策訓練」何が変わったか 深夜の営業線を使って、車内の不審者に対峙
到着からほどなくして、12号車の前後の出入り口から警官隊が3人ずつ、合計6人が乗り込んできて、あっという間に不審者を取り押さえた。現行犯逮捕した不審者を車外に連れ出し、一連の訓練が終了した。
JR東海・新幹線鉄道事業本部副本部長・運輸営業部長の近藤雅文氏は、同じ列車の別の車両に乗り、訓練の様子を大型モニター越しに注意深く観察していた。進路を変更し、信号に従った最大限の速度で最寄り駅に到着させるという新たな訓練が計画どおり完了し、「こうした取り扱いができるんだと手応えを感じた」と、訓練後の囲み取材で報道陣に話した。
異常時対策にゴールはない
その後、近藤氏と短時間の立ち話をした。「さきほどは手応えを感じたと言ったが、もっと謙虚な姿勢で臨まないといけない」と近藤氏。現段階で考えられる最善の対策であっても、予想がつかない異常事態が将来起きないとも限らない。鉄道会社はそれを踏まえて新たな対策を講じる。ある意味で“いたちごっこ”。それでも「さまざまな事態に備えて、さらに取り組みのレベルを上げていく」。
取材を通じて「こんな対策はできないか」と感じた点がいくつかある。12号車から乗客が避難する際に非常ブザーが複数回押されているが、実際の乗客は非常ブザーの操作に不慣れなはずだ。どこに設置されているかを知らない人も少なくないだろう。
JR東海の広報によると、「非常ブザーの取り扱いについては、下りは品川、名古屋発車後、上りは京都、名古屋発車後に自動放送にて案内している」と説明するが、いざというときに非常時にブザーを押すという行動を取れる乗客がどれだけいるか。
また、12号車から遠く離れた車両の乗客は列車内で何が起きているかわからないはずだ。しかも、乗務員やパーサーは12号車から手が離せず、ほかの車両の乗客をケアする余裕はない。そうした乗客に誰が何を何をどのように伝えるか。JR東海によれば、「お客様への注意喚起のタイミング等は、今回の訓練結果をもとにより良い形を検討する」という。訓練の内容を突き詰めて具体性が増せば増すほど、さらなる課題が見えてくる。しかも、実施した訓練とはまったく異なる想定外の異常事態が起きる可能性もある。異常時対応訓練にゴールはない。
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