泉・立憲民主代表の交代論がささやかれるワケ 都知事選敗北なら責任論拡大、険しさ増す前途

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特に泉氏は、野党第1党党首として最長の30分弱を割り当てられ、「野党の首相候補として見せ場を作れるか」(政治ジャーナリスト)が注目される中、まず「大将同士の討論だ」と切り出し、党首討論の直前に成立した改正政治資金規正法などでの岸田首相の対応について、厳しい口調で批判した。

これに対し、討論の前半は岸田首相が守勢に回っていたが、後半に差し掛かると反転攻勢が際立ち始めた。岸田首相が切り返しのポイントとしたのは、立憲民主の内部でも異論や反論が絶えない安全保障・エネルギー政策や憲法改正問題で、強い口調で「責任ある態度を示すべきだ」と泉氏を問い詰めた。

なかでも討論会場を騒然とさせたのは、岸田首相が「御党(立憲民主)は企業団体献金は禁止、(政治)資金パーティーは禁止、政策活動費も禁止。禁止、禁止、禁止というのは大変気持ちがいいかもしれない。しかし、現実的な政治の中で、政治資金というものは民主主義を支える重要な要素だ」と反論した際だった。普段の岸田首相からは考えられない強い口調での反撃に、泉氏も虚を突かれた形で言葉に詰まるなど、うろたえぶりを露呈した。

そもそも、泉氏はかねて、次期衆院選での政権奪取の前提として、維新や国民民主と連携した非自民連立政権構想(ミッション型内閣)を掲げてきた。これに対し、維新、国民民主両党は、「基本政策での一致がない限り、連立政権樹立は困難」(維新幹部)という立場で、岸田首相の一連の反撃は「まさに最大の弱点を突いた」(自民幹部)格好だ。 

泉氏は党首討論終了後、記者団に対し「(岸田首相の発言で)印象に残ったところはない」とことさら強気を装ったが、立憲民主内部からも「残念だが、泉氏の判定負け」(幹部)との声が漏れていた。

蓮舫氏が「大差」敗北なら、“七夕の悪夢”に

そうした中で、泉氏の代表再選の可否を決めかねないのが、国民的大騒ぎを巻き起こしている都知事選だ。というのも、各メディアや主要政党が選挙戦終盤に実施した情勢調査の多くが「小池氏がリードし、伸び悩む蓮舫氏は石丸氏との2位争いも接戦に」という予測を立てている。もちろん、「選挙は投票箱の蓋が開くまで分からない」(都選管)が、「無党派層の支持の低さなどから、終盤に来ての蓮舫氏の失速が目立つ」(選挙アナリスト)のは否定できない。

このため、「最強の候補を擁立したのに、小池氏の足下にも及ばなかったとなれば、共産党との選挙協力も含め、党執行部の責任が問われる」(党若手)ことは避けられず、「泉氏にとって“七夕の悪夢”になりかねない」(同)のが実情だ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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