コンテナ船、欧州航路が最安値に沈んだ理由 バラ積み船が底入れの一方、展望は厳しい

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コンテナ船市況は季節要因で大きく動く。毎年7月ごろからはクリスマス商戦向けの輸送需要により運賃は上昇しやすい。それでも欧州航路は、「今年は1000ドルに届くかわからない」という声が上がっている。ギリシャ危機も不安要素だ。

日本郵船、商船三井、川崎汽船など、日本の海運大手は1年単位で運賃価格を決める契約が多い。が、契約更新はその時の市況が反映されるので、現在の低迷状況が続けば、中期的な業績に響いてくる。

世界最大手の海運会社が攻勢

しかし、世界トップクラスのAPモラー・マースク(デンマーク)などは、船価の下落を好機ととらえ、2万TEUクラスの超大型船を追加発注し価格競争を仕掛けている。マースクは、2010年に世界で初めて1万8000TEU型を竣工させてコスト圧縮で先行し、前2014年12月期は50億ドル超の過去最高純益をたたき出した成功体験を持つ。

バークレイズ証券の姫野良太バイスプレジデントは「マースクは仮に今期赤字へ陥っても、数年単位で利益を拡大させられればいいと判断している。このまま競争力格差が広がれば、世界では下位レベルの日本企業はふるい落とされる」と見通す。

コンテナ船事業は他事業をグローバル展開する拠点にもなるため、そう簡単に撤退することはできない。しばらくは世界最大手の攻勢に耐え忍ぶ局面が続きそうだ。

「週刊東洋経済」2015年7月18日号<13日発売>「価格を読む」を転載)

岡本 享 東洋経済 記者

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おかもと とおる / Tohru Okamoto

一橋大学社会学部卒。機械、電機、保険、海運業界などのほかマーケットを担当。2013~2015年『会社四季報プロ500』編集長、2016年「決定版 人工知能超入門」編集長、2018~2019年『会社四季報』編集長。大学時代に留学したブラジル再訪の機会をうかがう。

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