さらに菅氏は、「(次期衆院選は)自民に厳しい戦いになる。政権交代もあり得る」と自民下野への強い危機感を強調。9月に予定される党総裁選については「党を覆う嫌なムードを払拭する機会にしなければならない。自民には若い優秀な議員が少なからずいる。おのずと意欲ある若手が出てくるのではないか」と、岸田首相の不出馬を前提に党再生を目指すべきだ、との認識を示した。
こうした菅氏の一連の発言について、林芳正官房長官は6月26日の記者会見で、「政府としてコメントすることは控えたい。国民の政治に対する不信の声を真摯に受け止め、先送りできない課題に引き続き専念し、結果を出していきたい」と述べるにとどめた。
そうした中、国会閉幕後相次いで公表された主要メディアの世論調査では、内閣と自民党の支持率がいずれも過去最低を更新するケースが目立つ。だからこそ自民党内では、次期衆院選での政権交代につながるとの不安から、「岸田降ろし」の動きが加速しているのだ。
読売新聞が21~23日に実施した全国世論調査でも、内閣支持率は自民が政権復帰した2012年以降最低の23%となり。自民支持率も前月の27%から25%に下落し、12年以降の最低(23%)に迫っている。
麻生、茂木両派からも「岸田退陣論」が噴出
このため、岸田政権の主流派と位置付けられる茂木派からも「ゆめゆめ岸田首相は(総裁選)再選などと口にせず、思いとどまってほしい」(東国幹衆院議員)という発言が飛び出した。また、国会閉幕前に政治資金パーティーを開いた麻生派の斎藤洋明衆院議員も公然と岸田首相の〝退陣論〟を主張したが、麻生氏の面前での発言だっただけに「親分の意向を受けての発言」(岸田派幹部)と受け止められている。
その一方で、党内での岸田批判に歯止めがかからない現状についての苦言も出る。岸田派幹部の田村憲久政調会長代行は、6月23日のフジテレビ「日曜報道 THE PRIME」で「けなし合いは党にとって良くない。言うなら(首相)本人に(直接)言った方がいい」などと、党内の動きを牽制した。さらにここにきて自民批判が目立っていた与党・公明党も、「外野から混乱させる振る舞いはしない」と自民党内の岸田降ろしの動きには同調しない構えだ。
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