そうした状況だからこそ、菅氏の言動が注目される訳だが、一連の菅発言についてネット上では「フィクサー・スガーリンがついに動き始めた!」と歓迎する声もある一方で、「いやいや、所詮は同じ穴の狢でしょ」と冷笑する向きも少なくない。その背景に「菅氏自身が裏金事件を受けて自民党が立ち上げた政治刷新本部の最高顧問だったのに、その時点では何も発言しなかった」(岸田派幹部)ことがあるとみる向きもある。
確かにネット上では「菅さんは今まで死んだふりをしていたが、ここが勝負と見ているのか。ただ、『おまいう』だな」「政権がわずか1年で終わったのは、菅さんへの国民の失望が原因のはず」など菅氏を揶揄する書き込みも目立つ。
そこで永田町スズメが注視するのは「菅氏は総裁選で誰を担ぐのか」(麻生派幹部)だ。すでに党内では「結局、菅氏は国民的人気がダントツの石破茂元幹事長を担ぐ」(同)との臆測も広がるが、菅氏自身は「すべてはこれから」と手の内を見せない。
その菅氏が6月6日、都内のすし店で、萩生田光一前政調会長、加藤勝信元官房長官、武田良太元総務相、小泉進次郎元環境相と会食した。 もともと菅氏は 、それぞれの頭文字を並べて「HKT」と呼ばれる萩生田、加藤、武田3氏とは定期的に会食してきたが、そこに小泉氏が参加したことが、総裁選絡みで党内に波紋を広げたのだ。
小泉氏を加えた4氏はいずれも菅政権で閣僚を務めており「いずれも菅氏の手駒」(麻生派幹部)とみられている。このため党内では「大幅な世代交代なら小泉氏、党内のバランス重視なら、茂木派幹部なのに故安倍晋三元首相とも親交があった加藤氏を担ぐのでは」とのうがった見方も出る。
いずれも決め手に欠ける「菅氏の手駒」
そうした中、麻生派幹部でもある河野太郎デジタル担当相が26日夜、都内で麻生副総裁と二人だけで会食したことも大きな話題に。かねて「ポスト岸田」への意欲を隠さない河野氏だけに、党内には「総裁選出馬で麻生氏の了解を求めた」との臆測が広がったのは当然だ。
これを受け、同日夜から27日朝にかけ、中央紙やテレビメディアの多くは「河野氏が、9月の自民党総裁選に出馬する意向を麻生氏に伝えた」と報道したが、河野氏は27日午前「どの河野さん? 面白い小説だと思います」などとはぐらかした。というのも河野氏は「本籍は麻生派だが、実質的後見人は菅氏で、両親分の了解がなければ、総裁選出馬は困難」(自民長老)とみられており、「軽々に答えられる状況ではない」(同)からだ。
こうしてみると、菅氏の手駒とされる総裁候補たちは「麻生氏とのキングメーカー争いの道具としても、いずれも決め手に欠けている」ことは否定できない。このため、岸田首相も「麻生、菅両氏の主導権争いを利用すれば、総裁再選は可能」(側近)とみて、連日のように麻生氏との密談を繰り返しているとみられており、現状では「総裁選告示直前まで、出たとこ勝負が続く」(自民長老)ことは間違いなさそうだ。
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