元メルカリ幹部がタクシー業界に乗り込んだ事情 日本版ライドシェア普及へ台風の目になれるか
北海道で目の当たりにした現実
――ライドシェアサービスの運営会社を起業しようと考えたのはなぜですか。
青柳直樹CEO(以下、青柳) さまざまな理由があるが、1つは社会課題の深さを感じているからだ。
以前、北海道で飲食店に行った際に、帰りのタクシーがつかまらなくて、みんながタクシーを探しているという状況に遭遇した。(移動の足が不足するという問題は)東京では起きていないが、日本のいたるところで発生している。これから経済を盛り上げていきたいのに、交通インフラがないせいで、各地域の観光産業や小売、飲食産業が難しくなっている。
アメリカでライドシェアサービスの「Uber」や「Lyft」を使って、「とても便利だな」と感じたことが、起業の原体験となっている。初めて行く場所でも不安なく、好きに行ける。日本でもライドシェアサービスができれば、インバウンド(訪日観光客)が増えたときにも、きっといい体験を提供できる。ライドシェアそのものの事業機会も潜在的に非常に大きいので、サービスとして成立させられるとも思う。
――青柳CEOはグリーのCFOやメルカリの日本事業責任者などを務めてきました。これまでの経験を生かせる側面も大きいのでしょうか。
青柳 (newmoを設立する)直前にメルカリで金融関連のビジネスを6年ほどやっていた。キャッシュレス決済や暗号資産に関するルール作りなど、ユーザーに信頼される新しい金融サービスの構築に取り組んだ。
規制に関する業種や、社会インフラと重なる領域で仕事をしてきたことに手応えを感じている。その経験を生かせると考えている。