元メルカリ幹部がタクシー業界に乗り込んだ事情 日本版ライドシェア普及へ台風の目になれるか

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newmoのCEOを務める青柳直樹氏
今年1月にnewmoを立ち上げた青柳直樹氏。タクシー業界への参入に当たっては、何度も壁にぶち当たって絶望したという(写真:newmo)
4月に一部地域から始まった「日本版ライドシェア」。解禁の背景にあるのは、タクシー乗務員数の減少だ。新型コロナの直撃もあり、2023年3月末の法人タクシー乗務員数は4年前比で約2割減った。
日本版ライドシェアの特徴は、タクシー会社が自家用車や一般ドライバーを管理する点にある。タクシー会社以外も参入できる“全面解禁”に向けては、政府内で法制度も含めた議論が今も続いている。
そんな中、タクシー・ライドシェアサービスの運営会社として注目を集めているのがnewmo(ニューモ)だ。元メルカリ幹部の青柳直樹氏が2024年1月に設立。2月には古巣のメルカリなどから約15億円を資金調達した。3月には岸和田交通グループの岸交(大阪府)への出資を発表し、今秋から大阪府内で自社アプリを活用したライドシェア事業を開始する予定だ。
起業の思いとライドシェアの展望について、青柳直樹CEOと宮崎聡CBO(最高ビジネス責任者)に直撃した。

北海道で目の当たりにした現実

――ライドシェアサービスの運営会社を起業しようと考えたのはなぜですか。

青柳直樹CEO(以下、青柳) さまざまな理由があるが、1つは社会課題の深さを感じているからだ。

以前、北海道で飲食店に行った際に、帰りのタクシーがつかまらなくて、みんながタクシーを探しているという状況に遭遇した。(移動の足が不足するという問題は)東京では起きていないが、日本のいたるところで発生している。これから経済を盛り上げていきたいのに、交通インフラがないせいで、各地域の観光産業や小売、飲食産業が難しくなっている。

アメリカでライドシェアサービスの「Uber」や「Lyft」を使って、「とても便利だな」と感じたことが、起業の原体験となっている。初めて行く場所でも不安なく、好きに行ける。日本でもライドシェアサービスができれば、インバウンド(訪日観光客)が増えたときにも、きっといい体験を提供できる。ライドシェアそのものの事業機会も潜在的に非常に大きいので、サービスとして成立させられるとも思う。

――青柳CEOはグリーのCFOやメルカリの日本事業責任者などを務めてきました。これまでの経験を生かせる側面も大きいのでしょうか。

青柳 (newmoを設立する)直前にメルカリで金融関連のビジネスを6年ほどやっていた。キャッシュレス決済や暗号資産に関するルール作りなど、ユーザーに信頼される新しい金融サービスの構築に取り組んだ。

規制に関する業種や、社会インフラと重なる領域で仕事をしてきたことに手応えを感じている。その経験を生かせると考えている。

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