「2年修行した後に最初は工房を自分で開こうと思っていました。ただ、自分のセンスを感じなくて、それで食べていくところまで持っていける体力と財力がありませんでした。
それでも漆は特殊な技術で、それを生かしたいという思いがあったので工藝の仕事を探して、今に至るまで15年以上、ずっと工藝の会社に勤めながら生活を続けています。
この世界に遅くから飛び込んだのもあって、いろんな決断をするうえで『もうあと4年早く今の仕事に就いていればよかったな』と感じることが最近、多くなりました。
4年くらいすぐに取り戻すつもりで努力はしてきたつもりなのですが、現状取り戻せていないと感じるのは、後悔の念をいまだに引きずっていて、前向きになれていないからだと思います」
今の家族がいるのは4年間の苦労のおかげ
「2浪で早稲田に入ったラグビー部の親友と最近もたまに会うのですが、彼は子どもたちに『1~2年は遠回りしても全然遠回りではない』と言っているそうです。彼がそう言えるのも、1~2年の間しっかり受験勉強したことで、今の自分の立場を得て、ある程度満足した生活を得られているという自負があるからだと思います。
でも私はしっかり勉強したという自負がないから、(子どもたちに)そうは言えません。若いほうが吸収が早く、経験を積むことがいちばん重要な仕事をする中で、私はダラダラしていた4年間のせいで、取り残されていると感じています」
ただ、今の仕事を通じて妻とも出会い、中1と小4の2人の子どもの父親でもあるK.Rさんは「今の家族がいるのはその4年のおかげだと思っている」と少しでも浪人を前向きに捉えるように、日々の生活を頑張っているそうです。
私生活では、4年ほど前にブラジル発祥のビーチスポーツであるフレスコボールにはまった彼は、クラブチームを立ち上げ、現在同競技のプレイヤーとしても活躍しています。
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