原生林由来のバイオマス燃料、輸入国日本の責任 森林生態学の専門家がビジネスの危うさを指摘
毎年、東京都に匹敵する面積の皆伐が続けられてきた結果、害虫の大発生も相まって、ブリティッシュコロンビア州の森林はもはやCO2吸収源としての役割を果たせなくなってしまっています。
このことは、ブリティッシュコロンビア州が作成した温室効果ガスインベントリーのデータでも示されています。加えて森林火災が状況を著しく悪化させており、大気中に大量の炭素を放出しています。
――ブリティッシュコロンビア州の林業の現状や今後の見通しは?
ブリティッシュコロンビア州の林業はうまくいっていません。過剰伐採に加え、老齢林の大量伐採、害虫の大量発生や森林火災が重なり、利用可能な木材供給量は近年、過去40年の伐採量のほぼ半分にまで減少しています。
製材所の閉鎖が相次ぎ、機械化と木材量の減少により、製材業の雇用者数も減っています。そのためブリティッシュコロンビア州は、伐採量に見合うだけの雇用を創出するため、付加価値のある産業の育成にも取り組んでいます。
同時に木質ペレット産業も成長してきています。ペレットの生産は増加の一途をたどり、森林生態系にさらなる負荷をかけています。
日本はカナダにとって最大のペレット輸出国
――日本の貿易統計(2023年)によれば、カナダはベトナムに次ぐ世界第2位の木質ペレット輸入相手国です。2023年に日本はカナダから158万トンの木質ペレットを輸入し、発電用燃料として使用しています。カナダからの輸入量は年々増え続けています。
ブリティッシュコロンビア州で木質ペレット産業が誕生したのは今から15年ほど前のことで、おがくずや林地残材などをもとに木質ペレットを製造し、イギリスや日本、韓国などに輸出してきました。しかし、それだけでなく、丸太も木質ペレットの原料となっています。
いまや日本は、カナダにとって木質ペレットの最大の輸出相手国です。そのほぼすべてがブリティッシュコロンビア州からのものです。
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