原生林由来のバイオマス燃料、輸入国日本の責任 森林生態学の専門家がビジネスの危うさを指摘

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政府や業界の発表によれば、木質ペレットの約8割は製材所や林地残材に由来するものであり、残る2割が丸太からであるとされています。しかし、実際に原料がどこから来ているのかについて十分に情報開示されていないのが実情です。

カナダ・ブリティッシュコロンビア州北部の皆伐現場(提供:地球・人間環境フォーラム)

ブリティッシュコロンビア州で生産された木質ペレットのうち、2割が丸太から製造されたと仮定した場合、長さ20メートル、積載量40立方メートルの大型トラック2万7000台分という計算になります。1列に並べると東京から大阪まで届く距離になります。なお、木質ペレットの原料は、残材であれ丸太であれ、すべてが原生林由来のものです。その一部は老齢林由来です。

認証制度が間違って使われている

――発電用燃料として木質ペレットを使用することに合理性はないとおっしゃいました。なぜそうしたことが行われているのでしょうか。

日本の再生可能エネルギー発電促進のための固定価格買取制度(FIT制度)は、カナダから木質ペレットを輸入するための補助金としての役割を果たしています。そうした仕組みがなければ木質ペレットの輸入は経済的に割が合わないのです。

――FIT制度では、林野庁が策定した「木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン」に基づき、森林認証を取得した森林から得られる原料などの使用が求められています。その点では持続可能と言えるのでは?

森林認証を受けたものであれば、原生林を皆伐して得られた木材が原料であったとしても、その木質ペレットは持続可能であるとみなされています。つまり森林認証制度は間違った使われ方がされているのです。

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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