初代社長が語る、JR東海の「観光列車論」 東海道新幹線は観光列車になりうるのか

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――東海道新幹線に観光列車を導入する予定はありますか。

国鉄時代はいろいろと試行錯誤をしていた。国鉄末期のこだまの利用率がものすごく低かった。16両から12両に減らしてもガラガラ。

それでJRになった時にこだまを活性化するべく、16両に戻す際に車両の座席を横5列ではなく、横4列にして「ツーアンドツーシート」として売り出したことがある。古い車両の座席を取っ払って、中にピアノを入れて音楽会ができるようにしたこともある。

100系では、2階建て車両にレストランを導入した。あの頃は暗い話題が多かったから、国鉄にも明るい話題がいるなあと。窓をうんと大きくして展望レストランにした。

JR東海は「輸送本位」でやっていく

須田寛(すだ・ひろし)●1931年生まれ。54年国鉄入社。名古屋鉄道管理局長などを経て、87年JR東海初代社長。95年会長。2004年から相談役

でも、段々スピードアップして所要時間が短くなると、食事の時間に引っかからない列車が出てくる。食堂車を付けた編成は1日中そのままで走らなくてはいけないのに、食堂車がよく利用される列車とあまり利用されない列車と両極端でね、非常にムダが出る。

結局、300系ではレストランをやめて、代わりにカフェテリアを作った。でもこれも失敗。新幹線で特別な施設を作らなくても、皆さん、駅で自由に買い物をしてお乗りになる。

現在の東海道新幹線には、遊び的な要素は一切ない。さきほどのハコモノ行政とは正反対で、観光列車を作らない分、輸送本位でやっていく。スピードアップするからその分、観光地でゆっくりしてくださいと。

「そうだ京都、行こう」キャンペーンのように、観光地とタイアップして、観光を提案する。こういうやり方のほうが私たちにはいいんじゃないか。リニア中央新幹線の品川―名古屋間開業時では無理だろうが、将来大阪までつながったら、東海道新幹線に観光列車を入れようということがありうるかもしれませんけどね。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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