自動運転実験でトップを独走する中国の凄み 当局の統制で中国メーカーの実験に障壁なし
フォードとフォルクスワーゲンは2年前にロボットタクシーの合弁会社アルゴAIを閉鎖したが、両社は現在も高度な運転支援システムの開発を続けている。
日本では昨年秋、時速12キロメートル以下で走行する無人ゴルフカートのテストが中止された。1台のカートが駐輪中の自転車のペダルにぶつかったためだが、けが人はなく、テストは3月に再開されている。
テスラの先を行く高度な運転支援システム
アメリカのテスラは、どの企業よりも大きくコンピューターによる運転制御に賭けてきた。しかし、同社が2014年に導入した高速道路走行用システム「オートパイロット」と、街路・高速道路走行用の新たなシステム「フルセルフドライビング」は、本当の意味での自動運転ではない。ドライバーは道路から目を離さないことが求められ、手はハンドルに添えていなければならないからだ。
テスラの最高経営責任者(CEO)イーロン・マスクは4月5日、「テスラ・ロボタクシーを8月8日に公開する」と発表した。
中国の電気自動車(EV)メーカーの多くは、量産車で高度な運転支援機能の導入を進めている。
中国政府は6月4日、NIO(蔚来汽車)、BYD(比亜迪)、SAICモーター(上海汽車)を含む中国の自動車メーカー9社に対し、テスラのフルセルフドライビングよりも高度な運転支援システムのテスト開始を認可した。少なくとも当初は公道ではなく、制限されたエリア内でテストが行われる予定だ。
バイドゥと電子機器大手のファーウェイ(華為技術)は、そうした自動運転システムの一部または全部を多くの中国自動車メーカーに供給している。またバイドゥは、ジーリー(浙江吉利)と合弁会社ジユエ(極越)を設立し、自動運転車を生産している。
中国自動車技術者協会の予測によれば、2030年には中国で販売される自動車の20%が完全な自動運転となり、さらに70%が高度な運転支援テクノロジーを搭載することになるという。