自動運転実験でトップを独走する中国の凄み 当局の統制で中国メーカーの実験に障壁なし
アメリカでの自動運転車の将来的な普及は、自動車メーカーがどれくらいのペースでEVへの切り替えを進めるかに左右されるため、予測が難しい。自動運転テクノロジーは、ガソリン車やほとんどのハイブリッド車よりも、バッテリーEVではるかにうまく機能する。電気モーターは、より少ないタイムラグで、より細かくパワーを制御できるからだ。
中国ではバッテリーEVが市場シェアの約25%に達しているのに対し、アメリカではまだ7%に過ぎない。
中国はこれまで、テスラと同社の高度な運転支援テクノロジーの大きな市場となっていた。ところが中国政府は現在、関連データの国外移動を厳重に取り締まるようになっている。
マスクはテスラのフルセルフドライビングを中国で提供する許可を得るべく、4月に北京を訪れた。交渉の結果、中国国内で収集した全データを国外へ持ち出さないことと、バイドゥとの契約を通じて中国の高解像度道路地図を入手することで合意に至った。
高解像度地図という非関税障壁
高解像度の地図は自動運転システムに不可欠だが、中国は外国企業がそのような地図に直接アクセスすることを認めていない。
運転支援車や自動運転車は、車体に取り付けられた小さなカメラや、場合によっては小型レーザーシステムを使って情報を収集する。そのデータのほとんどは車載コンピューターによって処理され、ハンドル操作や走行速度が決定される。
車載カメラやレーザーが収集したデータの大部分は自動車メーカーにアップロードされるわけではないが、人の動きの追跡や、機密性の高い場所のマッピングに使われる可能性があるため、セキュリティの専門家たちは頭を悩ませている。
ヨーロッパとアメリカは現在もまだ自動車メーカーが走行データを中国に送信することを認めているが、これは変わる可能性がある。アメリカの商務長官ジーナ・レモンドは先月、中国と電子的にリンクされている車両に対する規制を今秋にも提案すると述べた。ヨーロッパもこの問題について検討を始めている。
(執筆:Keith Bradsher記者)
(C)2024 The New York Times
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