それから、急いでバックパックの荷物から懐中電灯など必要最低限なものを取り出し、外鍵に南京錠をつけた。
部屋にはローソクしかないので、太陽が沈んでしまうと、何もできなくなる。しばらく休憩した後、2人で部屋の外にある木製の長椅子に座った。
星が輝く「天空の村」で家庭の味を堪能
外は完全に暗くなっていて、月の光に照らされた遠くの山々にかかる雲の合間から、綺麗な星がきらめいている。
村全体に街灯がないのと、標高が高いということもあって、人生で見たことがないくらい、星が近く、大きく感じた。
「雲がなかったら、すごく綺麗でしょうね」
彼女はしばらくの間、雲の隙間から見えるヒマラヤの天空に輝く美しい星を眺めていた。
「お腹が空いただろう。食事にするから、こっちの部屋においで」
男が部屋にやってきて、家族のだんらんに招いてくれた。ストーブのある食卓に行くと、70歳くらいの彼のお母さんがチャパティを捏ねている。
インド縦断の間、毎日のようにチャパティを食べてきたが、作るのを見るのは初めてだ。
全粒粉に塩と水を加えて生地を作り、それを小さく丸め、木製のめん棒で均等に伸ばしていく。それを鉄のフライパンに乗せて焼くと、お餅のように生地がふんわりと膨らみ、香ばしい匂いが漂う。
どうやら、出来たてのチャパティが完成したようだ。
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