ゼネコン「転職するだけで年収200万円増」の衝撃 「前向きな40代」と「悲痛な20代」の転職最前線

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準大手ゼネコンに勤めていた30代の男性は、「スーパーゼネコンだと30代前半で年収900万~1000万円に届く。準大手からスーパーゼネコンに転職するだけで、年収が200万円ぐらいアップするケースもある」と明かす。

下記の表を見てほしい。『会社四季報』のデータを基に主要大手の平均年収を並べたものだ。トップはスーパーゼネコンの鹿島で1177万円。準大手ゼネコンである安藤ハザマの963万円、中堅ゼネコンである大豊建設の807万円との差は歴然だ。

ゼネコンの平均年収

スーパーゼネコンではここ数年、人材の補充を狙って中堅・準大手ゼネコンよりもベースアップを積極化している会社もある。そういった賃上げ事情も転職ニーズ増加の背景にあるようだ。

給与面のステータスアップだけでなく、精神的な満足度を求めて転籍を希望するケースもある。準大手ゼネコンの幹部によると、次のような心理が働くようだ。

「技術者としてのやりがい」が動機に

「中堅ゼネコンだと、JV(共同企業体)としてスーパーゼネコンや準大手の下(サブ)に入ることがほとんど。サブは酷使されたり、会社の取り分(利益)が少なかったりする。建物ができあがったときの達成感も違う。スーパーや準大手に移ることで技術者としてのやりがいを得たい人は多い」

スーパーゼネコンや準大手側からすると、経験値の高い技術者の転籍は歓迎ムードだ。前出とは別の準大手ゼネコンのベテラン社員は話す。

「数年前、土木のベテラン技術者(当時40代)が中堅ゼネコンから当社に転職してきた。事前に相談があったので人事部にかけあったところ、即採用となった。特殊技術を持つ中堅ゼネコンの技術者となると現場では重宝される」

あらためて、建設業の転職の状況をつぶさに見てみよう。

転職サービス「doda」にゼネコンの従業員として登録した人の数は、2021年あたりからコロナ禍前の水準に回復し、2023年以降は一段と上昇している。

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