「中国の自動車メーカーは2023年以降、国内市場での販売価格を20~30%も値下げした。にもかかわらず、新型車に搭載される(先進運転支援システムなどの)技術は進化し続けている。これは中国でしか見られない現象だ」——。
世界的な自動車部品メーカー、ボッシュの中国法人の総裁(社長に相当)を務める徐大全氏は、6月6日に重慶市で開催された自動車業界のフォーラムでそう発言し、中国市場の現状は世界的に見て特異だと指摘した。
中国自動車市場の過当競争の背景にはさまざまな要因がある。事態がエスカレートするきっかけになったのは2023年1月、EV(電気自動車)大手のテスラが中国市場での販売価格を大幅に値下げしたことだった。
「BYDは価格破壊王」
すると翌月から、EVとPHV(プラグインハイブリッド車)で中国首位の比亜迪(BYD)が、価格を同クラスのエンジン車並みに引き下げた新型車を相次いで投入。テスラとBYDの価格攻勢にさらされ、同業他社は赤字覚悟で追随せざるをえなくなった。こうして、値下げが値下げを呼ぶ悪循環が現在も続いている。
そんな中、中国の通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)で自動車関連事業のトップを務める余承東氏と、BYDの創業者で董事長(会長に相当)の王伝福氏が間接的な“舌戦”を交わし、業界内で話題になっている。
口火を切ったのは余氏だった。6月1日に(前述とは別の)自動車業界のフォーラムに出席した際、「BYDは世界のEVの価格破壊王だ」と名指しで批判したのだ。
これに対して王氏は6月7日、前述の重慶でのフォーラムでかねての持論を述べ、次のように反論した。
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