中国自動車業界「過当競争」が止まらず深まる分断 ファーウェイが安売り批判、BYDは自由競争主張

✎ 1〜 ✎ 192 ✎ 193 ✎ 194 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「価格破壊は競争であり、市場経済の本質だ。市場経済とは供給過剰の経済であり、過剰があって初めて競争が生じる。そして、競争があるからこそ市場が繁栄するのだ」

ファーウェイの余氏の発言は、赤字続きで淘汰のリスクに直面しているメーカーの心情を代弁したものと言える。過当競争に歯止めがかからない中、そこから脱落するメーカーが今後相次ぐとみられているからだ。

BYDは車載電池やモーターを内製することで、圧倒的なコスト競争力を身につけた。写真は同社のイベントでスピーチする王伝福・董事長(BYDのウェブサイトより)

一方、BYDの王氏の主張は、同社独自の「垂直統合モデル」を裏付けにした正論と言えるだろう。BYDはEVやPHVの完成車だけでなく、車載電池、モーター、車載半導体などのコア部品を自社で開発・生産できる体制を長年かけて築き上げた。

見方を変えれば、BYDは自動車のサプライチェーン全体から利益を生み出すことにより、コスト競争力で(完成車の開発・生産だけを手がける)競合他社を圧倒している。

過当競争を肯定する声も

中国市場の現状をめぐっては、ファーウェイとBYD以外のメーカーの経営者にも意見の相違が目立ち、業界の分断が深まっている。

「このような過当競争を続けても、誰の利益にもならない」。国有自動車大手の広州汽車集団の董事長を務める曽慶洪氏は、前述の重慶でのフォーラムでそう述べた。

曽氏は、大部分のメーカーが利益を上げられず、生き残りのための人員カットが相次いでいる実態に懸念を示し、「自動車業界は目の前の競争ばかりにとらわれず、長期的戦略を持つべきだ」と強調した。

本記事は「財新」の提供記事です。この連載の一覧はこちら

それとは対照的に、国有自動車大手の長安汽車の董事長を務める朱華栄氏は、BYDの王氏に近い考えを持つ。朱氏は同じフォーラムの席でこう主張した。

「自動車市場の過当競争は、良貨が悪貨を駆逐するプロセスであり、顧客の利益を最大化するものだ。それはまた、(競争力が劣るメーカーの淘汰を通じて)市場競争が理性を回復するための早道でもある」

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は6月7日

財新 Biz&Tech

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ザイシン ビズアンドテック

中国の独立系メディア「財新」は専門記者が独自に取材した経済、産業やテクノロジーに関するリポートを毎日配信している。そのなかから、日本のビジネスパーソンが読むべき記事を厳選。中国ビジネスの最前線、イノベーションの最先端を日本語でお届けする。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事