「価格破壊は競争であり、市場経済の本質だ。市場経済とは供給過剰の経済であり、過剰があって初めて競争が生じる。そして、競争があるからこそ市場が繁栄するのだ」
ファーウェイの余氏の発言は、赤字続きで淘汰のリスクに直面しているメーカーの心情を代弁したものと言える。過当競争に歯止めがかからない中、そこから脱落するメーカーが今後相次ぐとみられているからだ。
一方、BYDの王氏の主張は、同社独自の「垂直統合モデル」を裏付けにした正論と言えるだろう。BYDはEVやPHVの完成車だけでなく、車載電池、モーター、車載半導体などのコア部品を自社で開発・生産できる体制を長年かけて築き上げた。
見方を変えれば、BYDは自動車のサプライチェーン全体から利益を生み出すことにより、コスト競争力で(完成車の開発・生産だけを手がける)競合他社を圧倒している。
過当競争を肯定する声も
中国市場の現状をめぐっては、ファーウェイとBYD以外のメーカーの経営者にも意見の相違が目立ち、業界の分断が深まっている。
「このような過当競争を続けても、誰の利益にもならない」。国有自動車大手の広州汽車集団の董事長を務める曽慶洪氏は、前述の重慶でのフォーラムでそう述べた。
曽氏は、大部分のメーカーが利益を上げられず、生き残りのための人員カットが相次いでいる実態に懸念を示し、「自動車業界は目の前の競争ばかりにとらわれず、長期的戦略を持つべきだ」と強調した。
それとは対照的に、国有自動車大手の長安汽車の董事長を務める朱華栄氏は、BYDの王氏に近い考えを持つ。朱氏は同じフォーラムの席でこう主張した。
「自動車市場の過当競争は、良貨が悪貨を駆逐するプロセスであり、顧客の利益を最大化するものだ。それはまた、(競争力が劣るメーカーの淘汰を通じて)市場競争が理性を回復するための早道でもある」
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は6月7日
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