【産業天気図・自動車】足元順調も、ガソリン高や景気減速に揺れる北米市場が波乱要因

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自動車業界の先行きは、少しずつだが不透明感を増している。大きな懸念要因は為替と収益源である米国市場の景気減速だ。前回特集では1年を通じて「晴れ」と見ていたが、今回、下期については「曇り」に改めた。
 足元の日本車メーカーの販売は、一部を除き順調。国内の市場低迷は相変わらずだが、牽引役の北米が伸びている。今年1~5月の米国販売では、トヨタ自動車<7203.東証>が前年同期比8.8%増、ホンダ<7267.東証>8.6%増、マツダ<7261.東証>3.6%増、富士重工業<7270.東証>2.9%増、スズキ<7269.東証>37.3%増となっている。世界的な原油高、ガソリン高は燃費に優れる日本車人気につながるという構図が続いているためだ。
 反対に不振なのは日産自動車<7201.東証>と三菱自動車<7211.東証>で、それぞれ3%減、12.3%減。特に日産は国内販売も2割減を続けており、新車投入の端境期であることから厳しい状況だ。
 こうした中、自動車業界の先行きには、やや減速感が出てきた。ゴールデンウイーク中に1ドル=110円まで進んだ円高は、その後一服しているが、今後の日本の金利動向などとの関係を含め、為替がどう動くか。各社の今期前提である1ドル=110円を超える円高展開となれば、収益ダウンは必至だ。
 さらに米国市場の行方も気掛かり。今年5月の米国全体の販売台数は季節調整済年率換算値で4%減。日本車の勢いだけを見ていると感じないが、米国販売の半分を占めるライトトラックを軸に市場全体は確実に減速している。足元のガソリン高に加え、米景気が後半弱含みになると、いずれ日本車にも波及する可能性があろう。
 米国よりインドなどアジア収益の比率が高いスズキなどの例外を除けば、総じて今期の各社は下方修正リスクが付きまとうと考えてよい。
【野村明弘記者】


(株)東洋経済新報社 会社四季報速報プラス編集部

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