「PK戦の勝敗」を分ける"たった8%"の残酷な差 超一流プロも逃れられない「認知バイアス」の罠

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1994年のアメリカ・ワールドカップ決勝戦におけるイタリア代表のロベルト・バッジョのPK失敗は、世界サッカー史に残る有名なエピソードとして知られています。

決勝のブラジル戦、試合は激闘の末、決勝史上初のPK戦にもつれこみました。ブラジルが3-2とリードした場面で、イタリア代表は5人目のキッカーとしてエースのバッジョがスポットに向かいます。

実は、バッジョのキャリア通算PK成功率は88%(108/122)と、平均と比べてもかなり高いのです。しかし、外せば敗退が決まる場面で、名手のキックはクロスバーのはるか上へと飛んでいきました。

立ち尽くすバッジョの姿は、悲劇のヒーローとして2020年代になってもメディアで紹介されることがあります。

バッジョの例も、駒野の例も、PKを止められたのではなく、外した点が共通しています。

PKにまつわる「不可解」なデータ

では、実際にPKはどのコースに蹴ると成功しやすいのでしょうか?
驚きのデータがあるので紹介します。

キッカーから見てゴールを6分割します(高さについて:上段・下段。左右について:左・中央・右)。各コースの成功率を計算すると下の表のようになります。

(出所:『行動経済学が勝敗を支配する 世界的アスリートも“つい”やってしまう不合理な選択』より)

※外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください

注目してもらいたいのは、上段と下段の成功率の違いです。

左・中央・右、いずれに蹴った場合でも上段の成功率が高くなっています。全体でみると、上段は下段に比べて8%ほど成功率が高いという結果になっています。

特に、ゴールの右上や左上を狙うと、8割を超える成功率が見込めるため、統計的には上段の左右に蹴ることがPKの最適な作戦といえます。

では、実際どの程度の選手が上段に蹴るのでしょうか?

次ページ当然、上段に蹴るのが合理的な選択だが…
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