しかし、定率減税の最大の欠点は、低所得者ほど減税額が少なく、高所得者ほど減税額が大きくなることである。所得格差是正には貢献しない。
今から思うと、そうしたことも考慮されて、今般の定額減税が企画されたわけだが、もっといい方法はなかったのか、といいたくなる顛末である。1人当たり4万円の定額減税が実施されれば、手取りの所得が増えて嬉しいという話になるかと思いきや、そうした雰囲気ではないのが実態だろう。
もし「給付付き税額控除」があったなら
もし、わが国に「給付付き税額控除」という仕組みが導入されていれば、定額減税も給付も一貫性を持って実施でき、減税事務や給付事務でこれほど煩わされることはなかっただろう。しかし、わが国の租税法の考え方などから、給付付き税額控除は、一部の政治家や経済学者は唱えるものの、実務的に一顧だにされていない。
2024年の春闘での賃上げ、その直後の定額減税で、好感が持たれ、衆議院の解散・総選挙に打って出られると期待したのだろうか。強いてこの時期に定額減税を実施する決断をした。
しかし、政治資金規正法改正論議が話題を席巻し、多くの人が定額減税のありがたみを感じられない状況である。衆議院の解散・総選挙どころではなくなっている。
こんな大変な思いをしてまで定額減税を実施するなら、二度としてほしくない、という印象を持つ人が多ければ、この定額減税は今年だけで2025年には実施しない、ということになるのだろうか。
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