東北海岸線「歩く旅」外国人に人気のワケを深掘り 全線1025km開通5周年「みちのく潮風トレイル」

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その中でも、ハイカーとの交流を日々の楽しみとし、歩き疲れたハイカーたちを温かくもてなし、時には助けてくれるのが「トレイルエンジェル」と呼ばれる現地の人たち。

MCTのトレイルエンジェルの代名詞とも言えるのが、大船渡市でコミュニティスペースの「潮目」を運営する片山和一良さん。

コミュニティスペース「潮目」
ド派手な外観で遠くからでも見つけやすい大船渡市のコミュニティスペース「潮目」(写真:筆者撮影)

震災後、大勢のボランティアが寝泊まりする場として始まったスペースにハイカーを受け入れ、地域の名所や飲食店などにも案内するもてなしで、「ハイカーの聖地」として知られている。

初夏は絶好のシーズン

ダイナミックで変化に富む絶景としてハイカーからの評価が高いルート北側の青森県から岩手県にかけてのエリアは、夏場に冷たい“やませ”が入り込む日もあり、冷涼な気候が特徴。

初夏はウニやホヤといった海産物の旬でもあり、ハイキングと三陸の食を楽しむにはうってつけのシーズンだ。

一方、自然に触れ、人との出会いを楽しめるMCTだが、野生の中を歩くレジャーであることは忘れず、必要な装備や情報は準備して臨みたい。MCTを歩くことは、自然と人との共生を自分事として考えるきっかけにもなるだろう。

ちなみに筆者も週末を使い、日帰りで少しずつ友人らと歩き、現在120kmほどを踏破した。

普段は車を使うことが多いが、MCTでは徒歩でしか入れない断崖絶壁の上から大海原を見下ろし、漁港では「そんな遠くまで行くなら、軽トラで送っていこうか」と漁師から冗談ともつかない申し出を受けたり。

地元住民も一般的な観光客も味わえない場面に出会える。何年かかるかわからないが、いつかは1025kmを歩き切りたいというのが密かな野望だ。

【写真】「みちのく潮風トレイル」を歩く旅。その楽しさや魅力がわかる写真の数々(19枚)
ロングトレイルを楽しむ人たち
沿線市町村も初心者向けのウォークイベントの開催や独自のマップ作成などを進めたのが功を奏して、MCTの認知度も徐々に向上。地元紙や「ナショナルジオグラフィック」、トレイルの専門誌などで紹介される機会も増えた。写真は地元の旅行会社主催で大船渡市周辺を歩いた「おおふなトレイル」の様子(写真:筆者撮影)
各所に巻かれたテープ
道に迷うことのないよう、各所に巻かれたテープを目印に歩こう(写真:筆者撮影)
手塚 さや香 岩手在住ライター

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てづか さやか / Sayaka Tezuka

さいたま市出身。毎日新聞の記者として盛岡支局や学芸部で取材経験を積んだ後、東日本大震災からの復興の現場で働くため、岩手県釜石市に移住。復興支援員として活動し、2021年にフリーランスとして独立。一次産業や地方移住の分野を中心に取材・執筆しているほか、キャリアコンサルティングや地域おこし協力隊の支援活動も行っている。

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