東北海岸線「歩く旅」外国人に人気のワケを深掘り 全線1025km開通5周年「みちのく潮風トレイル」

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太平洋沿岸地域の幹線である国道45号の歩道を行く区間があったかと思えば、漁村あり、砂浜あり、江戸時代に使われていた峠道あり……。景色も、断崖絶壁の眼下に広がる大海原、たくさんの小型船が停泊する漁港、広葉樹の森、白砂青松など実に多種多様だ。

実はMCTは、2011年の東日本大震災後、「グリーン復興」を掲げた環境省が整備を進めてきたトレイルルートだ。

被災地の豊かな自然資源、その恵みをなりわいとする暮らし。その一方、自然の脅威に対抗すべく培われた知恵があり、地域固有の風土を体感できるのがMCTの魅力と言える。

人口2千人の村に押し寄せる外国人ハイカー

MCTの運営を担うNPO法人「みちのくトレイルクラブ」によると、2023年にMCTを歩いた人はのべ12万人。コロナ禍をはさみ、2022年からは回復傾向にある。

1025kmを歩いたハイカーは全線踏破者として登録される仕組みもあり、2024年5月末現在で146人が登録されている。

中でも一般的に「滞在の約1年前から(歩く)準備をする」という外国人の動向が好調で、ルートマップは2021年は年間20部だった注文が、2024年に入ってからは月間20部に増加。

人口2326人(2024年4月末)の岩手県普代村にある「くろさき荘」には、2024年4~5月で100人前後の外国人ハイカーが宿泊。ほかの民宿も「ほぼ毎週、外国人が泊まっている」状態だという。

苔むした石段
苔むした石段は江戸時代の人々が歩きやすいよう積んだものという(写真:筆者撮影)
小型船が並ぶ漁港の脇
養殖やウニ漁に使う小型船が並ぶ漁港の脇を歩くルートも(写真:筆者撮影)
名取トレイルセンター
拠点施設である「名取トレイルセンター」の運営やルートの整備、情報発信などを担うNPO法人みちのくトレイルクラブは、ハイカー向けのイベントや国内外向けのプロモーションに取り組んできた(写真:筆者撮影)

みちのくトレイルクラブ事務局長で常務理事の相澤久美さんは「事前にツアーを手配した外国人の数だけでも昨年の約3倍。コロナ禍を経て、MCTを歩きたいと思っていた外国人が流入している」とみる。

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