海外進出のキモは現地習慣の体得と手ごろな価格設定--仏ダノン・ファベールCOO
——ダノンが現在、注目している国や地域は。
現時点ではロシアだ。昨年、現地最大の乳製品メーカーのユニミルクを買収した。今は統合の真っ最中だ。1万7千人を雇用する大きな事業体となる。ロシア全域では、約30カ所の工場を運営している。ロシアでも「ビオ」の展開に注力する。
——急成長している中国市場では、どう展開していきますか。
ダノンは中国市場に進出して30年の歴史を持つ。中国では現地企業の買収とダノン自体の成長を重視してきた。これからもその戦略に変わりはない。常に、全てのカテゴリーを見直し、どう伸ばしていくか考えている。もちろん適切な買収やアライアンスの対象も常に探している。競争の厳しい市場だが、ダノンは急速に成長しており、前期も20%以上の成長率を誇った。今期上半期も同様の伸びを維持した。特に、ベビーフードや流動食が伸びている。
——新興国の事業展開でポイントになるのは。
人材の確保だ。十分な能力と学歴をもった人材が不足している。特に新興国はその成長のペースに合った人材の絶対数が足りない。
——日系企業の海外進出は苦戦気味。海外進出に必要なものを教えてください。
3つある。
まずは、地元のメーカーと似た考え方をもつ必要がある。特に大規模な新規市場に参入する場合は、現地の食習慣、消費パターンを知る事だ。現地サプライチェーンはどうなっているのか、食品がいつ、どこで、どうやって食べられているのか。その製品のフォーマットはどんなフォームにされているのか。全部調査し、地域に見合う必要がある。つまり、状況を知る事が重要。現在ダノンは、新規市場での売り上げが全体の半分に達している。それは、このグローカルができているからこそだ。