海外進出のキモは現地習慣の体得と手ごろな価格設定--仏ダノン・ファベールCOO

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海外進出のキモは現地習慣の体得と手ごろな価格設定--仏ダノン・ファベールCOO

フランスに本社を置く大手飲料・食品メーカーのダノン。世界の主要国・地域で商品を販売し、日本ではミネラルウォ-ターの「ボルヴィック」や「エビアン」、ヨーグルトの「ビオ」などの商品ブランドを定着させてきた。ヨーグルトメーカーとしては世界最大の存在だ。

2010年12月期はアジア市場での成長が牽引し、総収入は前期比14%増の170億1000万ユーロ(約2兆円)と二ケタ成長を果たした。海外市場進出に苦戦する日本の大手食品・飲料メーカーに対し、多国籍企業として勢力を広げるダノンの戦略とは−−。来日したエマニュエル・ファベールCOO(最高執行責任者)に話を聞いた。

 ——震災後、日本市場に変化はありましたか。

 フランスに限らず世界が、日本の復旧の早さには驚かされた。日本の一般市民の対応の迅速さ、忍耐強さも素晴らしかった。ダノンも震災直後から2週間ほどは、電力供給や物流網の混乱などにより操業に支障が出たが、それ以降は震災前と同じ成長率に回復している。現在も、乳製品「ビオ」を中心に2ケタ増を続けている。新商品も発売となり、われわれにとって日本市場は完全に正常化したと言っていい。

 ——世界中でミネラルウォーターの伸びが頭打ちとなる中、日本では東日本大震災後の原発事故を受けて、安全な水を求める消費者の動きから特需が発生しました。

 需要は確かに増えた。日本政府が海外から輸入するミネラルウォーターについて、容器が外国語表記のままでも販売を認めるように規制を緩和したこともあり、ミネラルウォーター市場が拡大した。日本で「ボルヴィック」を販売しているキリンビバレッジからダノンには通常以上の注文が入った。細かい数字は公表できないが、ダノンが他国向けの商品を日本に振り分けたのは事実だ。

一方、輸入規制の緩和はわれわれの競合が増えることをも意味している。特に今回、韓国のメーカーから低価格帯のミネラルウォ-ターが日本市場に入った事実は大きい。ミネラルウォーター需要のピークは震災直後だったが原発事故をめぐる情勢次第で、今後も水の需要は伸びていく可能性はある。

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