エアアジアが中部で国内線に再参入する意味 16年春に国際線と異例の同時就航へ
セントレアからの新たな就航地については複数検討されているもよう。国内線は福岡、新千歳(札幌)、国際線は仁川(ソウル)、台北(台湾)が有力候補とみられる。
各候補地とセントレアを結ぶ路線は利用客が多く見込まれ、旧エアアジア・ジャパン(現バニラエア)が飛ばしていた実績やノウハウも生かせそうだ。各路線を運航している大手航空会社の3分の1から半額以下の低価格運賃で、勝負を仕掛ける。
既存の日系LCCは、まず国内線で実績を積み、その後に国際線へとネットワークを広げてきた。エアアジア・ジャパンはこれとは一線を画し、国内線と国際線を同時に就航させる戦略を採る。
具体的には、運休中のエアアジアX・名古屋-クアラルンプール線を復活させることで、東南アジアを中心とした訪日外国人客を中京圏に運ぶ。そのうえで、日本国内、あるいは韓国、台湾などの主要都市へ乗り継いでもらう。国際線の運航はエアアジアグループの豊富なノウハウが生かせる、という狙いがある。
機材はエアバス製の小型機「A320」をリースで調達することになりそうだ。座席数は旧エアアジア・ジャパンと同じ180席程度とみられる。当初は2~4機程度で運航を始め、就航地の拡充とともに機材も増やしていく。
従業員は本社間接部門のほか、運航・客室乗務員の指導層を中心に、すでに100人程度が雇用されている。今後は、現場で働く人員の本格的な採用に入り、就航時には200~250人程度まで拡充するもようだ。
現在、国内のLCCはANAホールディングス系のピーチ・アビエーション、バニラエアのほか、日本航空(JAL)が出資するジェットスター・ジャパン、中国の春秋航空グループが出資する春秋航空日本の4社が運航している。セントレアを拠点とするのはエアアジア・ジャパンが初めてとなる。
なぜセントレアを選んだのか
セントレアを選んだポイントは大きく4つ考えられる。
まず、名古屋は東京、大阪に次ぐ国内3大都市圏の1つであり、中部圏はトヨタグループをはじめとした日本の代表的な企業が集積する一大経済圏ということだ。東南アジア系の外国人労働者も多い。
2つ目は、競合関係だ。旧エアアジア・ジャパン時代に拠点としていた成田国際空港は2012年以降、ジェットスター・ジャパン、バニラエア、春秋航空日本が拠点化。同じく2012年から関西国際空港を最大の拠点として足場を固めたピーチも、成田の発着路線を広げている。成田、関空に今さら出て行っても勝ち目は薄い。