マレーシア移住、どうする?子供の健康問題 現地で小児科医を続けるリウ博士に聞く

✎ 1〜 ✎ 23 ✎ 24 ✎ 25 ✎ 26
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

それから、マレーシアでは飲み物にも砂糖が大量に入っていることが多いので、やはり砂糖を摂り過ぎてしまいます。

ですから、私のおすすめはできれば毎日自炊することです。そしてできるだけ少量の量を食べるようにすること。ココナッツオイルよりはオリーブオイルのほうが健康によいでしょう。子どもがファストフードや、ソフトドリンクなどを摂り続けて、癖にならないように注意することです。

抗生物質の投与に注意

──話は変わりますが、マレーシアに来るにあたって受けておいたほうがいい予防接種について教えてください。

肺炎球菌ワクチン、ロタウイルス、腸チフス、インフルエンザ、日本脳炎、肝炎ですね。B型肝炎についてはこちらでは必須となっています。当地では日本脳炎もまだ起きています。年齢によってお勧めする予防接種は異なりますが、脳の障害を起こすような重大な病気は予防したほうがいいと思います。

──病院にかかるときの注意点はありますか。

最近は、抗生物質の過剰な投与が問題だと思います。ただ、抗生物質を要求する親が多いのも原因のひとつです。ですから、病院に行って、抗生物質をお願いしないようにしてください。また、親のビタミン剤を誤って子どもが誤飲してしまう事故が多く発生しています。たとえば鉄剤などは子どもにとっては毒ですから、注意してください。

──ここマレーシアでは日本のようにポータブルゲームは流行していないようですが、タブレットなどで問題は起きていますか?

リー博士の著書はマレーシアの書店で購入できる。1995年発行だが、内容はほぼ現在にも適用できるという

ポータブルゲームの流行こそありませんが、ここマレーシアでも、幼児期にテレビやiPadなどタブレットやフォンを見すぎる子どもが増えています。私のところに来る子どもたちの中にも、言葉が遅かったり、目を合わせなかったり、診察室に入ると泣き出したり叫んだりと、コミュ二ケーションの問題を抱える子どもたちが多く来るのです。そういう子の親に「もしかして、家でたくさんテレビを見せていませんか?」と聞くと、「なぜわかるのですか?」という答えが返ってくることが大変多いのです。

──どんな問題につながりますか?

テレビを見すぎると、言葉が遅れたり、アイコンタクトができなかったり、周りの人とうまく感情を通わせることができません。特に1~3歳までの幼児期は脳が大きく発達する大事な時期です。マレーシアでも働く母親が多く、疲れていたり、子どもを簡単に静かにできたりで、テレビを見ながらご飯を食べていたりします。メイドがテレビばかり見せてしまうというケースもあるようです。しかし、最初の2年は少なくとも、スクリーンから子どもを遠避けたほうがよいのです。

もう少し大きくなった子どもの場合も、こうしたメディアに接する時間を制限するなどしたほうがいいと思います。

野本 響子 ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

のもと きょうこ / Kyoko Nomoto

東京都立青山高校、早稲田大学法学部卒業。安田火災海上保険(現損保ジャパン)を経てアスキー入社。『MAC POWER』(アスキー)、『ASAHIパソコン』『アサヒカメラ』(朝日新聞出版)の編集者を経て現在フリー。『僕がアップルで学んだこと』『企業が『帝国化』する』(ともに松井博著/アスキー新書)編集。著書に『いいね!フェイスブック』(朝日新聞出版)、『マレーシアの学校の○と× アジア子連れ教育移住の第一歩』(Kindle)ほか。1990年代半ば、仲良くなったマレーシア人家族との出会いをきっかけに、マレーシアの子育てに興味を持ち、現在クアラルンプール郊外に長期滞在中。趣味はオーケストラでの楽器演奏。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事