「治療3年待ちのぬいぐるみ病院」求める人の真意 約3万人の"患者"を治療、まもなく「産婦人科」も開設
病院と聞けば、通常は人間や動物に医療を提供する場をイメージするだろうが、ぬいぐるみを“治療”してくれる病院も存在するのをご存じだろうか。
2013年に開院した「ぬいぐるみ健康法人もふもふ会 ぬいぐるみ病院」は、医療法に基づく「病院」ではないが、傷ついたぬいぐるみを治療したい人にとっては、紛れもなく“病院”だ。
ぬいぐるみ愛好家以外には聞きなじみのないサービスかもしれないが、話題が話題を呼んで、ぬいぐるみ病院には治療依頼が殺到している。たとえば、ホームページ上で示されている現在の入院案内は「2020~2021年の申し込み」(5月5日時点)となっており、症状によっては3年ほど待つこともあるという。
ぬいぐるみケアサービスでなぜ「病院」という形をとったのだろうか。ぬいぐるみ病院の理事長であり、運営する株式会社こころの代表取締役を務める堀口こみちさんに話を聞いた。(ライター・望月悠木)
高度治療が必要な場合は「2~3年待ち」も
堀口さんは、病院の開設以来、「これまで約3万人の患者さんを治療させていただきました」と話す。
「現在24人のスタッフが働いており、過去にぬいぐるみ病院を利用した際にそのサービスに感動して『ぜひ働きたい』と言ってくれたスタッフもいます。
ただ、ぬいぐるみ病院は『人間がぬいぐるみを治す』のではなく、『ぬいぐるみがぬいぐるみを治す』というコンセプトで運営しています。公式ホームページの『当院の職員一覧』で医師や看護師としてぬいぐるみが紹介されているのはそうした背景があるからです」
ぬいぐるみ専門の病院だが、どの程度の予約があるのだろうか。
「現在は『毛玉取りケア』や『毛質改善特別ケア』など身体のケアをメインに行うサービス『エステサロン』や、綿の入れ替えや穴の縫合といった比較的軽い治療を希望される人は半年ほど。一方、現在の皮膚(生地)から新しい皮膚に張り替えたりなど、高度な治療技術を求められる人は2~3年ほど待ってもらっている状況です」