唯一の「電車が走らない県」徳島ご当地鉄道事情 ただし鉄道ネットワークは意外に充実している

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かつては高松から直通する特急「うずしお」などが走っていたこともあったが、いまの牟岐線の特急列車は1日1往復で実態としては通勤ライナー化している「むろと」だけ。それでも、四国第23番霊場の薬王寺が駅裏に鎮座する日和佐駅に向けて、毎年お正月には臨時特急「やくおうじ」が運転されるのが習わしになっている。

牟岐線 特急「むろと
牟岐線特急「むろと」は朝の上りと夜の下りの1往復だけ(撮影:鼠入昌史)

鉄道連絡船全盛期の面影も

また、いまでは廃線になってしまって久しいが、徳島の南の中田駅からは小松島線という支線が分かれていた。

徳島の要港として期待された小松島港への路線であり、1913年という徳島県内では早期に開業した路線の1つだ。実際に、往時は和歌山・大阪・神戸方面との航路と接続し、航路連絡路線の役割を担っていた。いまも、廃止された小松島駅の周辺にはターミナル時代の面影がほんのりと残っている。

いま、徳島の航路と言ったら和歌山港までを結ぶ南海フェリーだ。徳島側では徳島駅からバスで20分ほどの徳島港が拠点だが、相手方の和歌山港では南海和歌山港線の和歌山港駅と連絡。和歌山港線のダイヤも南海フェリーに合わせているし、フェリーのりばと駅舎までは連絡橋で直結している。少なくとも和歌山側では鉄道連絡船という存在にほかならない。

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