「超円安」に悲鳴!外食業界で続く値上げの波 「1ドル=160円」なら全面値上げも続出か

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カレー原料のスパイスは1.6億円のコスト増だった。スパイスは熱帯地域原産のものが多く、大半を輸入に依存しているためだ。スパイス相場自体が上昇している面もあるが、円安で一段のコスト増になっている。

肉類も輸入品の割合は高い。国内産の肉であっても、穀物由来の飼料などは輸入に依存しているため、円安の影響は免れない。

壱番屋は今2025年2月期もスパイスや肉類を中心に、前期比で約10億円の原材料のコスト増を見込んでいる。

イタリアンレストランを運営するサイゼリヤも影響は大きい。同社は1990年代からワインの直輸入を開始。パスタ、オリーブオイル、チーズ、生ハムといった食材をイタリアなどから輸入しており、円安の影響を受けやすい。

同社の場合、円安は中国を中心とする海外事業の追い風だが、国内事業ではマイナス要因だ。2023年8月期は国内事業の原価において9.7億円のコスト増だった。2024年8月期も同様に、第2四半期時点で3.8億円のコスト増となっている。

国内事業は毎四半期ギリギリの黒字と苦戦が続く。全面的な値上げを避けメニューの改廃で対応する方針だが、さらなる円安が定着すれば、国内は一段と厳しい環境になるだろう。

コスト増要因は多く、値上げ不可避か

円安だけではない。今春は外食業界でも多くの企業が賃上げを実施した。最低賃金も上昇し、人件費は上昇傾向にある。残業規制の導入による「物流2024年問題」も課題の一つ。各社は配送頻度を減らすなどの対応をとっているが、物流コストの上昇が見込まれる。

エネルギーコストも同様だ。2023年1月から政府が実施してきた「電気・ガス価格激変緩和対策事業」は5月末で終了する方向だ。一段のコスト増は避けられない。

さまざまなコスト増に超円安が重なり、国内の外食各社は厳しい状況にある。値上げを進めてきた業態も、価格転嫁のために、さらなる値上げに踏み切る可能性がありそうだ。

金子 弘樹 東洋経済 記者

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かねこ ひろき / Hiroki Kaneko

横浜市出身で早稲田大学政治経済学部を卒業。2023年4月東洋経済新報社入社。現在は外食業界を担当。食品ロスや排出量取引など環境問題に関心。

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