米国の政府債務格付けAaaを据え置き、見通しはネガティブ《ムーディーズの業界分析》

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 第二に、Aaaの格付けに相応する長期的な財政運営を確実に維持するためには、さらなる施策が必要となる可能性がある。具体的には、連邦政府のGDP比債務比率が、向こう10年間の半ばまでに12年の予測水準の73%の水準を大幅に超過せず、その後低下する、とムーディーズは想定している。こうした傾向が見られれば、政府歳入に対する利払い費の負担が現在の予測より低下するであろう。

昨今の債務および財政に関する議論に見られた政治的立場の大幅な相違が継続すれば、想定された期間における有効な政策決定が阻害される可能性がある。長期的ないっそうの赤字削減策は格付けにプラスとなり、逆にそうした施策がなければネガティブとなる。

第三に、経済成長率が最近下方修正され、11年上半期の成長率も非常に低水準であったことから、向こう1~2年における潜在的な成長力が懸念される。成長率が非常に低水準で推移すれば、財政再建がより困難となる。そのため、ムーディーズは財政再建の取り組みに関連するものとして成長のペースも注視していく。

最後に、債務上限および長期的な財政見通しに関する最近の政治的不透明性の中でも、米国財務省の借り入れコストは低い水準にとどまっていた。ムーディーズも、経済予測を行う他の主体も全般に、向こう数年間は金利上昇を予想しているが、借り入れコストが現在の予想を上回って上昇すれば、財政再建の取り組みが脅かされる。そうした展開が見られれば、格付けにはネガティブとなる。

ムーディーズは、米国政府の保証が付された一部のイスラエル政府およびエジプト政府の債券のAaaの格付けも据え置いた。これらは米国の政府債務格付けの見直しに伴って、見直しの対象となっていた。

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