パレスチナ国家の国連加盟は実現するか

「9月の国連総会でパレスチナ自治政府は加盟を申請する。国連に加盟することで国際社会によるパレスチナ国家承認を実現したい」とワリード・シアム駐日パレスチナ常駐代表部大使は語る。パレスチナ自治政府の国連加盟が実現すれば、膠着状態が続く中東和平に大きな影響を与える。「アラブの春」と呼ばれるエジプトの民衆革命などとも関連する。
オバマ大統領の変化に期待
ワリード氏によれば、パレスチナ自治政府は世界118カ国に国家として承認されている。
だが日本は、パレスチナ自治政府に、EU(欧州連合)を除くと単一国家としては世界最大の経済援助(年約1億ドル)をしているが、国家としては承認しておらず、外交関係がない。パレスチナ自治政府が国連に加盟すれば、こうした事態も変わる。
パレスチナ自治政府が国連に加盟するには、国連安全保障理事会の承認が必要だ。中東和平でつねにイスラエル寄りの意思決定をする米国が拒否権を発動すれば、パレスチナ自治政府の国連加盟は実現しない。
ただ、オバマ米大統領は、歴代の米大統領と比べて本音ではイスラエル一辺倒ではないかもしれないと、パレスチナ側は変化を期待する。
ワリード氏は、「オバマ大統領が、拒否権を行使せず、パレスチナ国家の国連加盟を認めることを期待したい」と語る。