5月以降の日経平均上昇を裏付ける「3つの追い風」 今後もドル高円安の大幅修正は見込みづらい

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今や、FRBの年内の利下げ幅については0.5%(50ベーシスポイント)、年末時点のFF(フェデラルファンド)金利(民間銀行が資金を融通し合う際に適用される短期金利の政策指標)は5.0%であれば御の字、という状況になりつつある。

年初の時点では、3月のFOMC(連邦公開市場委員会)で利下げ開始後、年間で約6回(1.5%相当)分が織り込まれていた。だが、度重なる経済指標の上振れを経て、FF金利先物が織り込む年内の利下げ回数は1~2回となっている。

今後も1ドル=140円割れは想定しにくいワケ

ここでアメリカの重要経済指標を整理すると、まず消費者物価指数はジェローム・パウエルFRB議長が「凸凹(バンピー)の一部である」と見なしてきた1・2月の強さに続いて3月も加速気味となり、インフレ沈静化の道のりがなお険しいことを示した。その間、消費者マインド指標が上向いたのと整合的に、個人消費(小売売上高)は明確に加速した。

また、ISM製造業景況指数が約1年半ぶりに50を回復したほか、住宅指標(着工、中古・新築販売件数、建設業者の景況感)も底打ち感が強まるなど、全般的にアメリカ景気再加速の気配が強まっている。

そして4月入り後、一時1バレル=85ドルを超えてきた原油価格もインフレ沈静化を阻害する要因になりつつある。26日に発表になった3月の個人消費支出のコア物価指数(エネルギーと食品除く)も、前年同月比で2.8%上昇している。

さすがにインフレが再加速する兆しは乏しいことから、7月ないしは9月FOMCにおける利下げ開始はありそうだが、それでも年内の利下げ幅は0.5%にとどまると判断される。FRBの利下げが遅々とすることで、日米金利差縮小に時間がかかることを踏まえると、やはり140円を割れるような円高は想定しにくい。

今後予想される日本銀行の追加利上げや長期国債の買い入れ減額(現在は年70兆円強)は、若干の日米金利差縮小をもたらしそうだ。だが、やはり為替市場に与える影響はFRBの金融政策が圧倒的に大きい。

また、構造的な貿易・サービス収支の赤字が需給面で円安圧力を生じさせていることも重要だろう。

2023年以降、貿易赤字の縮小が進む中、旅行収支の黒字幅拡大によって貿易・サービス収支の赤字幅は縮小傾向にある。だが、その他サービス収支が、いわゆるデジタル赤字の拡大によって6兆円程度の流出超となっていることから、貿易・サービス収支の黒字転換は展望しにくい状況にある。

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