これから2年は積極的に投資する--小池利和・ブラザー工業社長

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これから2年は積極的に投資する--小池利和・ブラザー工業社長

--戦略投資枠として1500億円を用意しました。必要なM&Aとは?

いろいろとある。情報機器ではソリューション提供力のある会社が考えられる。生産量がものすごく多くなってきているので、工場の自動化や金型などインフラに強い会社も欲しい。工作機械では品ぞろえを増やすためのM&Aも考えていきたい。

新事業の創出では、社内で研究するだけではスピードが上がらないと判断すれば、すでに技術を持っている会社を買うことが考えられる。既存事業だけでブラザーの10年、20年の計が図れるかといえば、そうではない。アンテナを立てて、いろいろなチャンスをうかがっている。

--新事業への投資を絞れば一時的に利益を伸ばせる。日本の大手電機メーカーの中にはそうした例も多い。

それは絶対にやらない。これから2年くらいは歯を食いしばって研究開発と設備投資をいっぱいやらないとダメだ。各事業がみんな伸ばせると言っているので、そのためにヒト、モノ、カネを出してあげないといけない。来年春にはベトナムで家庭用ミシンの工場が動き出すし、再来年には西安で工作機械、工業用ミシンの大きな工場が動き出す。ここ1~2年でこういう投資をやっておかないと、その先が見えなくなってしまう。研究開発投資を含め、できるかぎり積極的にやっていきたい。

--1982年から23年米国法人に勤務し、帰国後まもなく社長に就任しました。この経験を踏まえ、ブラザー本社の課題をどのように分析していますか。

ブラザーに限ったことではないが、最近、日本人からハングリーさが失われつつあることを危惧している。これでは激しさを増すグローバル競争を戦えないかもしれない。また、米国でビジネスをやるにはイエス、ノーをはっきり伝える必要があるが、日本ではいまだにあうんの呼吸で進んでいくことが多い。グローバルに展開していく中でいろいろな人と仲間として付き合うには、コミュニケーション能力を磨く必要があるだろう。創業以来の家族的な社風の中に、多様な文化を取り込んでいけるかがカギ。多様性の中から新しいものが生まれてくるはずだ。

ブラザー工業の業績予想、会社概要はこちら

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(撮影:梅谷秀司 =週刊東洋経済2011年8月6日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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