なぜ「江ノ電」にアジアの若者が殺到するのか

乗客1700万人!「江ノ電」の強さの秘密②

鉄道は地域との絆で走るというのが、私の信念です。そして、鉄道は地域を元気づける手段にならなければいけないと、考えているのです。

運行速度の遅ささえ喜ばれるワケ

レトロな駅舎はかつてのまま

――昭和の懐かしさといったことも、江ノ電の大きな魅力となっていますね。

高度成長期に入り、輸送の量が求められても、かつてはタンコロと呼ばれた1両だけの電車が2両になり4両になりと変わりはしても、今も昔と変わらないのんびりとした速度で走り続けています。

駅舎にしても同じで、改札が自動改札機になり自動券売機が導入された程度で、極楽寺駅など建物はかつてのまま残しました。

鉄道輸送の量を求めて長編成化や高速化などをやみくもに行わなかったため、鉄道の質は昔のままに残りました。そのことで、かつての別荘地の面影を残し、現代のリゾート地の鉄道として、今なお愛していただけるのだと思うのです。

昔の鉄道の質を変えず、心を失わなかったこと。江ノ電がローカル鉄道として生き残れた要因のひとつは、これではないでしょうか。

――そうしたことが観光地としての魅力につながっているのですね。

崖ぎりぎりに江ノ電の線路がある

江ノ電の沿線地域は、明治・大正の頃から別荘地として開発が進みました。早くから住宅地の開発が始まったことに加え、もともと、崖と海が接近している地形で平坦部が狭いため、沿線の開発はこれ以上難しい状況です。

そのため、通勤や通学でご利用いただくお客様が、現在以上に増えることを見込むのは無理です。

すると、どうしても観光のお客様を増やすしか、経営を改善する方法はありません。

そこで、鎌倉・藤沢に存在する観光資源に頼るだけでなく、江ノ電自身も観光資源になって積極的にお客様に来ていただく努力をしているわけです。

前回も申しましたように、昭和の頃の電車を現役で走らせ、古い駅舎の風情を保存し、ホームの中も楽しい雰囲気作りを進めて、江ノ電に乗るだけで楽しいと言っていただけるよう、常日頃から心掛けています。

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