「なぜ人類は絶滅しない?」哲学者が出した"答え" 「進化したサピエンス」がなぜ生きづらいのか?

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われわれは、石器時代からの感情と、中世からの社会システムと、神のごときテクノロジーをもつ
(エドワード・O・ウィルソン『人類はどこから来て、どこへ行くのか』2頁)

見事な要約だと思います。

身体と心、制度やシステム、そしてテクノロジー。

この3つが見事にズレている。それぞれがもつ、生理的時間、進展のタイムスパンがあまりにもちぐはぐなのです。

「ケア」抜きには生きていけなくなった

かつて僕らの身体、脳、心は太古の環境と調和していた。

だが、大きくなった脳は、暇という時間的余裕を味方につけて、文明を、文化を作ってしまった。そして、その文明は生存は保障してくれるが、「生きているという心地」「生まれてきたことの意味と実感」までは与えてくれなかった。これが僕らが生きづらさを抱えていることの顛末です。

それは、もはやサピエンスという種の運命と言えます(ちなみに腰痛と肩こりも、二足歩行に適していない骨格のまま生活せざるを得ない僕らの運命です)。

では、なぜ僕らは絶滅せずに今も生き延びているのか?

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環境に適応することができなくなった種の運命は、絶滅と決まっているはずです。

僕らはなぜかいまだに絶滅していない。

答えはこうです。

進化のプロセス、すなわち環境の変化とそれに応じた適応進化のメカニズムから外れた僕らの心は、互いに助け合い、互いにケアするようになった──。

言い換えれば、ケア抜きには生きていけなくなった種なのです。

ケアと利他。

それによって、かろうじて生存し、そして、生きている心地と実感を得るようになったのが僕らなのです。

近内 悠太 教育者、哲学研究者

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ちかうち ゆうた / Yuta Chikauchi

1985年神奈川県生まれ。慶應義塾大学理工学部数理科学科卒業、日本大学大学院文学研究科修士課程修了。専門はウィトゲンシュタイン哲学。リベラルアーツを主軸にした統合型学習塾「知窓学舎」講師。教養と哲学を教育の現場から立ち上げ、学問分野を越境する「知のマッシュアップ」を実践している。『世界は贈与でできている』(NewsPicksパブリッシング刊)がデビュー著作となる。

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