投資ブームを煽る「誇張や断定」とどう付き合うか 後藤達也×田内学「お金と投資」対談【中編】

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
後藤 達也(ごとう・たつや)/経済ジャーナリスト。1980年生まれ。2004年から18年間、日本経済新聞の記者として、金融市場、金融政策、財務省、企業財務などの取材を担当し、2022年3月に退職。経済ニュースを「わかりやすく、おもしろく」をモットーに経済や投資になじみのない人を念頭に、偏りのない情報の発信を目指している(撮影:今井康一)

後藤:なぜそうなるかと言うと、買いたい人、買わなきゃいけない人は、その段階になる前に買い切っちゃってるからです。追加で買う人が、もういなくなっちゃってるんですね。

そんなタイミングで、何か逆回転のショックが起こったら、売る人がものすごい勢いで出てくる。潜在的な売り需要が非常に強いので、気をつけたほうがいいですね。今はSNSというフィルターがあって、余計それが拡張されているような感じがあるので、気をつけたほうがいいです。

例えば、2021年は、GAFAが最強っぷりを発揮して、S&P500が連日最高値を更新しているような状況でした。すると、「日本で円預金している人なんて情弱だ」みたいに煽られて、「黙って積み立てているだけで、こんなに儲かるのに」といった発言が多く聞かれるようになりました。だいぶ極まってきている雰囲気が出ているなと思っていたら、やはりその後、2022年にはアメリカ株は下がりました。

今がバブルとは言わないですが、「流れに乗り遅れる」と焦ったりしないというのは大事ですね。長い目で少しずつ積み立てするのはいいと思いますが。

田内氏「金融商品は、普通の商品とは決定的に違う」

田内:価格は需給によって決まりますが、金融商品は、普通の商品とは決定的に違うところがあります。それは、買った人は「いつか売ること」を目的に買っているということです。

そのまま会社を保有することを目的に株を保有したいという人が増えるのだったらいいのですが、実際は、安く買って高く売ることを考えている人が大勢を占めています。

2人の対談は動画でも収録(撮影:今井康一)

僕がゴールドマンに入社したのは2003年だったのですが、この年の6月にバリュー・アット・リスク・ショックと呼ばれる日本国債の暴落が起きました。

暴落が起きる前に、金利がとても低くなっており、日本国債の価格がどんどん高くなっている状況でした。保有していたらちょっとずつ儲かる、だからまた買うということが繰り返されていました。

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事