伝説の投資家・本多静六が指南「積立投資の王道」 悲観的な想定でも、無理なく「億り人」になれる

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本多が考案した倹約方法が「ツモリ貯金」。洋服や家具など欲しいものがあったら、それを買ったつもりになり、買ったものは一時的にお店に預けたと自分に言い聞かせたそうです。

本多が考案した貯蓄方法が「4分の1天引貯金」。毎月の給料の4分の1を貯金して積み立てていくことです。本多は、東京帝国大学の助教授となった直後から、こうした倹約と貯蓄を実践しました。

本多はその貯金で株や山林を買い、資産をさらに増やしました。投資の才能もあったようで、40歳のころには給料よりも株の配当金や貯金の利子のほうが多くなりました。巨万の富を築き、引退後はその大半を地元埼玉の育英事業に寄付し、苦学生を助けました。

40代・50代は手遅れか?

ここまで読んで、40代・50代の読者は、「ああ、自分も若い頃から積立投資をやっておけば良かった」とため息をついているかもしれません。40代・50代は、すでに手遅れでしょうか。

現在、日本人の平均寿命は男性81.05歳、女性87.09歳です(厚生労働省「令和4年簡易生命表」)。90歳を迎える人の割合は男性25.5%、女性49.8%です。「人生100年」と言われる通り、いま40代・50代の人は普通にあと40~50年生きるわけです。

いま40歳の人が先ほどの条件で積立投資をしたら、悲観ケースで83歳、標準ケースで73歳、楽観ケースで67歳で億り人になれます。40代・50代でも「手遅れ」と決めつけず、積立投資を検討することをお勧めします。

日沖 健 経営コンサルタント

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ひおき たけし / Takeshi Hioki

日沖コンサルティング事務所代表。1965年、愛知県生まれ。慶應義塾大学商学部卒業。日本石油(現・ENEOS)で社長室、財務部、シンガポール現地法人、IR室などに勤務し、2002年より現職。著書に『変革するマネジメント』(千倉書房)、『歴史でわかる!リーダーの器』(産業能率大学出版部)など多数。

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