このような状況のなかで、世界的に株式が買われる、あるいは日本株が買われる土壌が形成されているのは、自然な流れであるように思われます。国債を買う必要性がない大半の欧州の投資家は、少しでも高い利回りを確保しようとして、過度なリスクを取らざるをえなくなるからです。要するに、より高い利回りを求めて、債券から株式へと資金をシフトせざるをえなくなるわけです。
また、欧州の量的緩和と併行するように、ブラジルを除く新興国がこぞって金融緩和を拡大しているため、欧州だけでなく世界中の投資家はいま、少しでも高い利回りを得ようと懸命になっています。世界的な緩和により、かつてないほど債券から株式への資金の流れが進んでいるのです。このような有り様は、バブルの領域に足を踏み込んでいると言っても過言ではありません。
世界の投資家は株を積極的に買っていない
ここで懸念しなければならないのは、世界中の投資家が積極的に株式を買っているのではなく、低金利市場の運用に困ったあげく、消去法的に買っているということです。
直近のFOMC(連邦公開市場委員会、6月16日~17日)までは、金融市場は9月の利上げを警戒、アメリカ株は調整していましたが、FOMC後のイエレン議長の記者会見を受けて、利上げは12月の1回になるという観測が急速に台頭してくると、アメリカ株をはじめ、世界の株価は再び上昇に転じてきています。私はこうした背景を以前のコラムでも指摘してきました(6月4日のコラム「だからアメリカは、9月には利上げできない」を参照)。
このような状況を見ていると、米欧の金融市場の関係者はもちろん、機関投資家やヘッジファンドの運用者は、リーマンショックの教訓からあまり学んでいないように思われます。彼らはFRBによる利上げが明確になるまでは、業界全体で「ババ抜きゲーム」に興じ、ギリギリまでリスクの高い投資を積み増すつもりでいるからです。
イエレン議長が5月に「株価は割高である」と発言したのは、こういった金融市場の行き過ぎた運用に警告を与えるためでした。しかしながら、金融市場では議長の警告を無視するどころか、利上げの時期にしか興味を示していません。ですから、利上げによって金融市場の流れがひとたび変われば、株価の大幅な調整が起こりうることも考えなければならないでしょう。
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