北陸新幹線「ウフフCM」はこうして生まれた 「バザールでござーる」の水口氏起用の舞台裏

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別案を作ることはせず、このイラストをJR東日本に提案したところ、「かわいらしい、なごむような絵が気に入った」(JR東日本の三浦氏)。一発でOKが出た。

一方で、ちょっとした議論を醸した点もあった。当初のCMの絵コンテでは、運転士が敬礼をしたまま新幹線が走っていたのだ。「われわれは鉄道事業者だから、動いている新幹線で敬礼をしてはいけない」(同)。即、敬礼しない運転士に差し替えられた。ちなみに、ポスターの新幹線は停止しているという設定なので、敬礼はOKとのことだ。

こうして完成したCMやポスターは首都圏では目立ったが、北陸地方はJR西日本の管轄。駅にポスターは掲示されず、CMも第1弾は放映されず第2弾からという形にとどまった。しかし、評判はYouTubeなどで北陸にも広まり、金沢市内ではコックス氏の作品展示会が開催されるほどの人気ぶりだ。

「ウフフ」に続くキャンペーンは?

今は東京と金沢を行き来する日々を送る水口氏(撮影:大澤誠)

水口氏は北陸の出身である。生まれてから大学までを金沢で暮らしていた。北陸の気質や特性を知り尽くしていることは、広告作りに大きなプラスとなる。「自分が金沢出身であることを電通も知っているし、それが起用につながった面はあるはず」(水口氏)。

今年5月から金沢にも事務所を構え、東京と行き来する日々が始まった。今後は新幹線で多くの人が金沢にやってくる。この街をブランドとしてどう見せるかが問われてくる。水口氏が金沢で果たすべき役割は大きい。

北陸新幹線の開業から3カ月。JR3社による「Japanese Beauty Hokuriku」キャンペーンは続いているが、「ウフフ」のキャンペーンは終わってしまった。残念ながら、復活の予定はないという。JR東日本は北海道新幹線の2015年度末の開業に向けた準備を始めている。

「ウフフ」が好評だっただけに同種のCMを予想する見方もあるが、「広告とは地域性や時代背景に合わせて変えていくもの」と三浦氏は言う。次はどんなキャンペーンになるのか。タレントを起用した実写になるのか、それとも新たなキャラクターを描き起こしたアニメーションになるのか。ベールをぬぐ日が楽しみだ。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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