1兆円超えが5社!「不動産含み益」100社ランキング 上位3社合計の含み益は前期比で約5340億円増加

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トップ3は不動産大手がランクイン(写真:元ぽっぽや/PIXTA)

三菱地所、住友不動産、三井不動産などの不動産関連株が年初から大幅に続伸している。これらの不動産株は2023年はじめに東京証券取引所から改善要請があったPBR(株価純資産倍率)の基準をクリアしている会社も多く、一見割安には見えない。

この改善開示の要請があったPBR1倍とは「一般に公正妥当と認められる企業会計の基準」(GAAP)に従って算出された純資産より株式時価総額が低い状態であり、企業を清算した価値より時価総額が低い、割安な状態と一般的には言われている。

しかし、一般的なPBRだけでその会社の資産に対する割安性は評価できない場合もある。というのも、GAAPは保守的に純資産を見積もる側面があるからだ。この保守的な会計ルールの都合上帳簿に載らない、いわゆる「オフバランスな資産」も考慮に入れるとPBRの見方が変わってくる。そして、このオフバランスな資産の代表例が、「賃貸等不動産」の含み益だ。

本記事に関連したさらに詳しいデータのほか『会社四季報』、企業、役員、大株主、地域、大学、小売店などの各種データを販売する「東洋経済データサービス」 。各種データのカスタマイズにも対応します

賃貸不動産は日本のGAAP(J-GAAP)上では国際的な会計基準のIFRSなどと異なり公正価値ではなく、原価モデルにより財務諸表に記載(認識)される。

つまり、原則、J-GAAP上では、取得した際の金額でBS上には記載されるが、時価は大きく乖離していて、オフバランスな含み益が発生していたというケースがある。このオフバランスな含み益を考慮に入れ修正したPBRが実は1倍以下だったという企業もあるため、賃貸等不動産を持つ会社のPBR評価は注意する必要がある。

昨年の「1位は4兆円超!「不動産含み益」100社ランキング」に続いて、東洋経済が保有する2023年12月期までの各社有報から、新たに賃貸等不動産の含み益が多い企業を調査した。上位100社をランキングにし、直近と前期の伸びを確認した。対象会社は保有不動産関連の時価情報が記載されている「賃貸等不動産関係の注記」の有無を確認し、開示があった企業を集計の対象とした(連結決算実施会社は連結ベース)。

トップ3は変わらず他を圧倒する結果に

トップ3は、三菱地所住友不動産三井不動産という順で不動産大手が今年も独占した。伸び率で見ると、1位野村不動産ホールディングス(+11%)、2位の日本空港ビルデング(+8.2%)と商船三井(+8.2%)に続いて4位に三井不動産(+7.7%)、5位に住友不動産(+6.9%)が入ったことで、含み益トップ3のうち2社は伸び率でも上位となった。

さらに、上位3社合計の含み益は前期比で約5340億円増加し、6位の阪急阪神ホールディングスの含み益総額に近い額を1期で増やす形となり、上位が他を圧倒する結果となった。

含み益が減少した銘柄も多くあるが時価が変わったのではなく、売却したケースもあるため、前後背景を確認するにはPL上に売却益が出ているかも目を通す必要がある。

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