前澤氏も猛抗議「SNS上の悪質詐欺広告」の超深刻 荒れにくいSNSはどこへ?Facebook上などに大氾濫

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広告収入によって莫大な利益を上げているIT事業者が、収益の一部と自社の高度な技術を費やして、広告の健全化を図ることは、企業としての責務である。

米Amazonも同様に、AIを活用して不正レビューを検知し排除するしくみを構築している。また、偽レビュー業者を提訴するといったことも行われている。どの程度の効果が上がっているか、具体的なデータや報告は見つからないが、筆者がAmazonを利用していても、明らかにおかしい評価は、依然と比べて見られなくなってきていると感じている。

Meta社も対策は行っているが、不十分である。日本だけではなく、アメリカ本国でも同社の独立監査機関から、Facebookにバイデン大統領のフェイク動画が投稿されたことに対して、同社の投稿監視ポリシーが一貫性を欠いていると指摘されている。

もともと、Facebookは実名での登録が中心となっており、「荒れにくいSNSサービス」として普及してきた。Facebookは、2008年の大統領選でオバマ陣営が有効活用することで勝利に貢献したり、2010年以降に起きたアラブの民主化運動で反政府運動に活用されたりしてきた。

成長期には、「世の中を良くする民主的なSNS」として期待されてもいた。創業者のマーク・ザッカーバーグ自身も、そうした理念を口にしてきた。その点からすると、現在のMeta社を見る限り、創業時の理念から遠のいてきているようにも見えてしまう。

包括的な取り組みが必要

何よりも重要なのが、メディアやSNSプラットフォーム事業者自身がしっかりとした対策を取ることだ。また、それを可能にするために、被害を受けた側だけでなく、広告主、広告事業者、行政など、関係各所が対策を講じることが重要だ。

前澤氏のX上でも注意喚起されている詐欺広告(画像:前澤氏のXより)
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