繁華街で急増中「酒のヤマト」は2024年問題も無風 カクヤスが急回復を遂げた"逆張り戦略"の中身

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こうした個人飲食店は大手チェーン店と比べると、小口取引ながら粗利率が高い。2023年度第3四半期(4~12月)決算では、売上高が前年同期比16.4%増の985億円に対し、営業利益は同23倍の24億円へ採算が急改善している。

4月から物流業界では2024年問題の影響が懸念されるが、カクヤスでは従業員約4500人のうち、配送業務に関わる従業員が約8割以上を占める。自社物流の体制が整っているため、物流費上昇の影響を受けにくい。

人手不足問題も、小型倉庫を増やす障壁にはなりづらい。大規模な配送センターでは大型トラックのドライバーが必要だが、小型倉庫ならリヤカーや台車だから免許がなくても採用できる。これまで雇用が少なかった女性やシニア層の配達員を増やすことで、採用が安定してきたという。

首都圏で小型倉庫の設置をさらに増やす方針で、恵比寿や中目黒エリアなどへの進出を虎視眈々と狙う。

店舗は日用品を拡充

従来の店舗は、家庭向け宅配に力を入れるべく日用品を拡充している。直近の家庭向け宅配の売り上げは、2019年度と比べて約36%増加している。コロナ後も高止まりしており、今後は介護用品やペット用品といった、昼間に注文の多い商品を充実させて稼働率を上げていく。

「今のカクヤスが進めるのは、物流戦略だけ。もはや酒屋じゃなく物流会社と言ってもいいかもしれない」(佐藤会長)。ラストワンマイルの整備に乗り出すカクヤスは、まさに酒販業界の「ヤマト運輸」。首都圏の包囲網は、さらに強固となりそうだ。

田口 遥 東洋経済 記者

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たぐち はるか / Haruka Taguchi

飲料・食品業界を担当。岩手県花巻市出身。上智大学外国語学部フランス語学科卒業、京都大学大学院教育学研究科修了。教育格差や社会保障に関心。映画とお酒が好き。

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