「紅麹」と醤油や酒の醸造用「麹」の決定的な違い そもそも「麹」とはどのようなものかを解説

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それでは、ここで、整理のために「麹菌」の定義の話をしましょう。まず、麹菌の示す範囲については広義に示すものと、狭義に示すものがあります。

広義的に麹菌の指し示す範囲として、「麹を作るための糸状菌(カビ)を総称して麹菌と呼ぶ」というものがあります。

ここには、日本の醸造食品に一般に使われる麹菌(アスペルギルス属の仲間)も、今回の紅麹(モナスカス属)も入ります。あるいは、中国の麹(曲)に使われるクモノスカビと呼ばれるカビなどが入る用例もあります。

日本醸造学会が定めた「麴菌」はわずか

次に、狭く麹菌の語句の示す範囲の定義としては、日本醸造学会が麹菌を「国菌」(日本を代表するものとして選ばれた菌)と認定した際に定めた定義があります。

麴菌とは、わが国で醸造及び食品等に汎用されている次の菌をいう。
(1)和名を黄麴菌と称する Aspergillus oryzae
(2)黄麴菌(オリゼー群)に分類される Aspergillus sojaeと黄麴菌の白色変異株。
(3)黒麴菌に分類される Aspergillus luchuensisAspergillus luchuensis var. awamori)及び黒麴菌の白色変異株である白麴菌 Aspergillus luchuensis mut. kawachiAspergillus kawachii)。
注)Aspergillus niger(クロカビ)は、黒麴菌とは異なる菌種であり、麴菌には含めない。
平成 18 年 10 月 12 日 日本醸造学会
平成 25 年 11 月 28 日 一部改正(菌名変更)

端的に言えば、アスペルギルス属のなかでも、オリゼー、ソーヤ、ルチエンシス、ルチエンシス ミュート カワチに限るとされています。

そして、アスペルギルス属には他に「アスペルギルス フラバス」「アスペルギルス ナイジャー」など日本の醸造食品には用いられない複数の種が属していますが、それらは、国菌としての麹菌の定義から外れます。なお、私が麹菌という語を使う際はできる限り断りを入れたうえで、この狭義の定義を用いることが多いです。

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