ある企業が、製品の発表を遅らせるかどうかの決断を迫られているとしよう。5日後に発表することはすでに告知ずみだ。
スケジュールどおりの発表を支持する人々は、こんな主張をしている。
「約束を守るべきだ」
「早期に市場で試してフィードバックをもらうほうがいい」
「終わらせて祝杯をあげたい」などと主張する。
一方で、発表を遅らせたほうがいいと考える人々は、
「重要な機能の実装が完全ではないし、小さなバグがいくつか残っている」
と主張している。
決断は2択(スケジュールどおりに発表するかしないか)だが、決断に至るまでの意見は2択ではない。
まず、異端児に話してもらおう
ここでパーセントカードの出番だ。パーセントカードとは、1、5、20、50、80、95、99という数字が書かれているカードだ(このカードの活用例はこちらの記事も参照)。
発表を支持する気持ちの強さを、カードの数字で投票してもらえばいい(支持する気持ちが強いほど大きな数字とする)。
投票には10人が参加した。強く支持するが6票、強く反対するが4票だ。
ではここから何をすればいいか? 上司が先に意見を述べるのではなく、異端児の意見に耳を傾けるのだ。
少数派のほうのグループ、この場合は発表に反対票を投じた4人から、まずは話を聞こう。多数派が話したあとでは、少数派は意見を言いづらくなるからだ。
グループで話し合うときに、まず異端児の意見を歓迎し、みなで耳を傾けることが習慣づくと、心理的安全性が十分に確保される。
そういう環境ができたなら、みながいる前で直接、「1票だけになった人の意見を聞かせてもらえますか?」と問いかけられるだろう。
少数派が多数派に比べて極端に少ないということもある。たとえば10人中に1人か2人だけという状況になると、少数派はもう意見を言えなくなる恐れがある。
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