「訪日旅行はバブルだ」星野リゾート代表が警鐘 オーバーツーリズムを放置すれば満足度落ちる

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――外資系に比べて、国内ホテルは運営特化への切り替えが遅れました。

1980年代にホテルオークラが権威ある雑誌で世界一のホテルに選ばれた。ホテルオークラ、帝国ホテル、ホテルニューオータニが世界のトップホテルを争っていて、日本ホテル業界の絶頂だった。

ここでマネジメントコントラクト(MC:運営特化型)に切り替えることができていればうまくいっていた可能性もあったと思う。しかしそれが遅れた。MCは薄利で、オーナーシップを持っているほうが儲かる。温泉旅館業界も、実家を売却してまで運営特化に切り替える勇気がなかった。

1980年代は北米やEU(欧州連合)のホテルと背比べの状態だったが、すでに(その差は)大きくなってしまった。これから運営特化に切り替えるホテルはさまざまな面でキャッチアップが必要となってくる。

市場戦略視点のブランド戦略が非常に大事

また正しいブランド戦略のもと運営特化に切り替えているのか、または(財務面など)何らかの問題で資産売却が必要なため、売却ありきで運営特化をしているのかでは、大きな差がある。当社は1990年代から運営に特化している。覚悟の差がある。

山代温泉にある「界 加賀」。老舗旅館から運営を引き継いだ(写真:星野リゾート)

――MCでの出店で成功するために重要なことはありますか。

市場戦略視点のブランド戦略が非常に大事だ。

例えば、熱海や石川の温泉旅館は老舗温泉旅館を「界」(土地ごとの特色を生かした温泉旅館ブランド)のブランドに変えた。批判もあったし、常連客が離れるなど、ブランドを捨てるデメリットはあったが、統一するメリットを取りにいった。

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