希代の起業家が伝授「新規事業の成功」見極める技 その提案は多くの人の「痛み」に寄り添えているか
スタートアップを立ち上げる準備ができたとわかるタイミングはいつだろうか。それは、犠牲を払ってもかまわないと思えたときだ。それこそが最も重要な唯一の指標となる。
「今の職場で働き続けるけれど、資金が調達できたら、すぐに退職して会社をはじめる」と言っていたら、いつまで経っても起業はできない。十分なコミットメントを示していないからだ。
投資家にも、コミットしていないことは伝わる。起業家がコミットしていなくて、どうして投資家がコミットするだろうか。
どれだけ多くの人にとっての「問題」なのか
ここでの重要なテーマは、「解決策ではなく、問題に恋をしよう」である。
問題は簡単に特定できる。誰かにその話をすると、「そうそう、私も同じ問題を抱えている!」と共感してもらえるからだ。
たいてい、その人は問題についての意見を述べ、体験したときの不満を聞かせてくれる。たくさんの人から意見を聞けば聞くほど、その問題が現実のものとして認識されていることがわかる。
そうなれば、あなたのバリュープロポジション[提供する価値]は現実のものとして認識されることになる。
たくさんの人がその問題について自分の認識を語り、その問題を排除することに価値があると言えば、大きな「ペイン(痛み)」をともなう問題だといえる。だが、あわてて解決策に着手する前に、まだ確認すべきことがある。
それは、その問題にはどのくらいのペインがあるか(その問題を解決することに、どれだけの価値があるか)、その問題に遭遇する頻度はどのくらいか、だ。
毎日直面する問題──できることなら、通勤の往復のような、1日に数回遭遇する問題──を解決するなら、重大な問題に目をつけたことになる。
ウェイズの買収について、2013年にグーグルと話をしたとき、CEOのラリー・ペイジは、「グーグルは『歯ブラシモデル』──つまり、1日に2回使うもの──に興味がある」と言った。ウェイズはまさに、そのとおりのモデルだった。