圧倒的王者のアパホテル、4つの「ありえぬ数値」 「2000万人」「108%」「600人」「52期連続」

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最後のありえない数値は、「52期連続」。1971年の創業からずっと黒字を続ける高収益だ。

コロナ禍はさすがに苦しかったそうだが、「全国のアパホテルを30連泊できる」サブスクプランを発売するなど、創意工夫で乗り切ったという。ちなみに同プランは9万9000円と絶妙な価格設定で、「自転車1周旅」など、学生の休暇旅行に好評を博した。結果、1億円以上売れたそうだ。

このようにアパが高収益にこだわる理由は、持続可能な経営を行うためだ。そこにはまず、人材が不可欠。だからこそ確実に収益を上げ、従業員に給料や福利厚生として還元する原資にしている。

「サービス業界は長く人手不足が続き、他業種からの流入も少なくなっています。ですが、サービス業界で働きたいと考えている人は一定数います。彼、彼女たちに選ばれるためには、サスティナブルにベースアップ、福利厚生を充実していけると判断できる、信頼が必要なのです」(元谷氏)

それを裏打ちするのが高収益、すなわち財務力なのだ。このためアパは、「トリプルワンシステム」や「1ホテル、1イノベーション」などの姿勢で稼働を高めながら、レベニューマネジメントとダイナミックプライシングでRevPARをアップ。高収益を確保している。

変形地への出店も、信念に裏打ちされたもの

加えて、DXによる省人化を進めるなど、さまざまな工夫で削れる経費を徹底削減するのも経営信条だ。出店地の選び方もその1つ。一般的に選ばれる整形地ではなく変形地への出店で、初期費用を抑えている。

「規格外野菜と同じ感覚です。形は多少いびつでも、同じ駅からの距離と面積の土地を2割は安く買えますから」と元谷氏はほほ笑む。

これを象徴する特徴的なシルエットのホテルが『アパホテル〈渋谷道玄坂上〉』だ。W型の土地のポテンシャルを独自設計で最大限に生かし、面積に対しての客室数を、整形地と同じ数で維持している。フォーマット化したホテルではとてもできない、設計力が発揮された建物だ。

アパホテル渋谷道玄坂上
W型の土地ながら、面積に対しての客室数を維持する『アパホテル〈渋谷道玄坂上〉』(写真:アパホテル提供)
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