中国新興EV「蔚来汽車」、決算が映す厳しい実態 廉価版サブブランドの投入で巻き返せるか

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蔚来汽車のメインブランドである「NIO」に関しては、2024年は新型車の投入や既存車種のフルモデルチェンジの予定がない。そんななか、同社が販売台数底上げの切り札として立ち上げるのが(廉価版の)サブブランドの「阿爾卑斯(アルプス)」だ。

蔚来汽車の李斌CEOは、廉価版サブブランドの投入で販売台数の底上げをもくろむ。写真は2023年12月のイベントに登壇した李氏(同社ウェブサイトより)

「アルプスの第1号モデルは2024年後半にお披露目する。販売価格は20万~30万元(約417万~626万円)に設定し、2024年10~12月期に納車を開始する」。李氏は決算説明会で、アルプス・ブランドの今後の展開についてそう述べた。

李氏の説明によれば、NIOブランドとアルプス・ブランドは明確に差別化される。NIOがハイエンドのブランドとして利益率を重視するのに対し、アルプスは利益率よりも量を売ることを優先するという。

車載電池の自社生産を断念

なお、李氏は2023年12月に開催した蔚来汽車のイベントでアルプスに言及し、販売目標について「1車種で月間5~6万台」と語った。

本記事は「財新」の提供記事です。この連載の一覧はこちら

中国のEV最大手の比亜迪(BYD)は、車載電池から完成車まで自社で開発・生産する「垂直統合型」のビジネスモデルにより、価格競争力と利益確保を両立させている。蔚来汽車はそれを模倣し、アルプス・ブランドに自社製の車載電池を搭載する計画だった。

しかし同社は、(業績悪化などを受けて)この計画の見直しを余儀なくされた。電池事業の採算性を再評価した結果、3年以内の利益率改善が見込めないと判断。電池セルや電池パックの研究開発は続けるが、生産は他社に委託するとしている。

(財新記者:余聡)
※原文の配信は3月6日

財新編集部

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Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

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