中国EV市場「利益なき繁忙」が止まらないジレンマ 黒字化達成の「理想汽車」もやむなく全面値下げ

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理想汽車は高級ブランドのイメージを維持するため価格競争を避けてきたが、市場の流れには逆らえなかった。写真は同社が4月に発売した新型車「L6」(理想汽車のウェブサイトより)

中国のEV(電気自動車)市場の過当競争が止まらない。4月22日には、これまで価格競争と距離を置いてきた新興EVメーカーの理想汽車(リ・オート)までもが、ついに値下げを発表した。

2015年創業の理想汽車は、ライバルの蔚来汽車(NIO)、小鵬汽車(シャオペン)とともに中国の新興EVメーカー群をリードしてきた。2023年の販売台数は37万6000台に達し、3社の先頭切って通期黒字化を達成した。

中国の自動車市場では急速なEVシフトが進む一方、自動車メーカーのEV事業の損益はほとんど赤字だ。2023年に通期黒字を計上したのは、最大手の比亜迪(BYD)のほかは理想汽車だけだった。

顧客にキャッシュで返金も

それだけに、今回の値下げは理想汽車にとって苦渋の決断だった。その対象は4月18日に発売したばかりの新型SUV「L6」を除く全車種に及ぶ。

具体的な値下げ額は、車種やグレードによって1万8000~2万元(約38万4000~42万7000円)。高級ミニバン「MEGA(メガ)」に関しては3万元(約64万円)も値下げした。理想汽車は同社のEVを最近購入した顧客に対して、今回の値下げ分をキャッシュで返金するとしている。

理想汽車が価格競争に消極的だったのは、創業当初から利益率を重視し、高級ブランドのイメージ作りに力を注いできたからだ。同社の経営陣は、「高級EVブランドとして持続可能な経営をするには、最低でも20%の粗利率が必要だ」と事あるごと強調していた。

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