日本の自動車大手の日産自動車が、苦戦する中国事業の立て直しを急いでいる。同社は2026年度までに、中国市場に新開発のEV(電気自動車)やPHV(プラグインハイブリッド車)を8車種投入。それらを起爆剤にして、中国市場で年間販売台数100万台の回復を目指す。
日産の中国事業の中核は、国有自動車大手の東風汽車集団との合弁会社である東風日産(正式社名は東風汽車有限公司)だ。同社の年間販売台数は最盛期の2018年には156万台に達し、トヨタやホンダを抑えて日系合弁メーカーのトップに立っていた。
だが、2019年以降は販売台数の前年割れが続き、中国自動車市場のEVシフトが本格化すると落ち込みが加速した。東風日産の販売台数は2022年と2023年の2年連続で前年比2割以上も減少。2023年の販売台数は79万3000台と、ついに100万台を割り込んだ。
BYDの攻勢がシルフィ直撃
東風日産の販売が急激に落ち込んだ要因は、EVシフトへの対応の遅れに加えて、最量販車種の小型セダン「軒逸(シルフィ)」に過度に依存していたことだ。シルフィは長年にわたり、東風日産の乗用車販売の半数前後を占めてきた。
ところが、中国のEV最大手の比亜迪(BYD)が2023年2月、PHVの小型セダン「秦PLUS DM-i」の価格をエンジン車並みに引き下げて発売。3月に追加投入したEV版とともに、シルフィから多数の顧客を奪い取った。
その結果、シルフィの2023年の販売台数が37万6000台だったのに対し、秦PLUSはPHV版とEV版の合計で43万4000台に達し、シルフィを軽々と抜き去った。
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